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予防会からのお知らせや、性感染症(STD)に関するコラムをお届けします。


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2019.09.17

特集

避妊効果だけではない低用量ピルの利点

 

来年はオリンピック・パラリンピックyear! 

~避妊効果だけではない低用量ピルの利点~

今月はかた苦しい病気についてのコラムから離れて、ちょっと息抜きです

東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催まであと1年を切りました!
みなさんはどんな競技に関心がありますか?
僕は学生時代に水泳部だったので、見たい競技のひとつは競泳です。女性の身体は水に浮きやすくスピードが出るので、男子と女子の記録の差が比較的少ない競技と言われています。

それはさておき、昨今の女性アスリートの記録更新の陰には、積極的にスポーツに取り組む女性が増えたことがあげられると思います。

柔道、サッカー、重量挙げなど、体力的に厳しい競技に果敢に挑戦する姿を見ていると感動します。同時に、女性アスリートは男性アスリート以上に自身の健康管理に気を付ける必要があるので大変です。
女性は月経(生理)があるために体調の変化が起こりやすいのですが、メンタルもフィジカルもベストな状態で試合に臨まなければならないからです。アスリートに限らず、女性のライフサイクルに大きく関わっているのが女性ホルモンです。女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類のホルモンがあり、言わば「妊娠するために必要なホルモン」です。卵胞ホルモンには卵子の発育と子宮内膜を増殖させる働きがあり、黄体ホルモンには子宮や身体を妊娠に適した状態に維持する働きがあります。
また、月経開始日から排卵までが卵胞期、排卵後から次の月経開始日までを黄体期と言います。卵胞期は身体のむくみも少なくボディーラインが最も美しくなる時期で、生物学的に女性が異性を引き付けて妊娠したい時期と言われています。また、黄体期は妊娠に備えて水分を蓄えるため、身体がむくみ、腸管壁もむくんで動きが悪くなるため便秘になりやすくなります。ちなみに生理前の体重増加はいわゆる水太りなので、脂肪が付いて太るのとは違います。このように、月経周期によって体重が減ったり増えたりするので、月経前は身体が重いと感じたり、だるいと感じても当然なことなのです。

【コラム画像】 ピル 2019,9,12

(引用:月経周期に伴う、身体とこころの変化 http://femaleathletes.jp/pdf/180829_dysmenorrhea.pdfの図)

 

2017年ワーキングウーマンのためのイベントで、女子サッカー元日本代表の澤穂希さんが、現役時代に月経周期をコントロールするために「低用量ピル」を服用していたことを明かしました。澤さんは、排卵日には靭帯が緩みやすくけがをしやすいことから、20歳の頃から毎朝基礎体温表を付けて体調管理をおこなっていました。しかし、海外チームへ移籍をしたとき、チームメイトのほとんどが低用量ピルを服用して体調管理をしており、ドーピング検査にも問題ないものを処方してもらっていたとのことでした。
生理痛や試合日の生理を根性で克服することはできないと考えた澤さんは、低用量ピルを服用し、そのおかげで、安心して現役生活を全うできたと話されています。

このように避妊目的以外にも女性にとってたくさんのメリットをもたらす低用量ピルについてお話ししたいと思います。

低用量ピル 2019,9,17

★予防会では数多くの低用量ピルを扱っています。(中用量ピルもあります。)
当院では、ご自身のライフスタイルに合ったピルを無料相談で詳しく説明し、ご提案いたします。

 

低用量ピルとは?

卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類の女性ホルモンを合成してできた錠剤で、21錠タイプと28錠タイプがありますが、どちらも実薬(成分の入っている錠剤)は21錠です。
また、実薬のホルモン量がすべて一定のものを一相性ピル、自然のホルモン周期のように3段階で調整しているものを三相性ピルと言います。
低用量よりもさらに女性ホルモンの含有量が少ない超低用量ピル(ULD)もあります。
もっと細かく言うと、避妊向けの保険がきかないお薬(OC)と、月経痛用の保険がきくお薬(LEP)がありますが、ぶっちゃけて言うと含まれている成分はどちらもほとんど変わりません。さらに、LEPには出血が毎月のタイプと3か月に一度のタイプがあります。

 

低用量ピルの作用は?

低用量ピルを服用すると、血中の女性ホルモンの量が増え、卵巣が女性ホルモンを出しすぎていると脳が錯覚し、「女性ホルモンが過剰なので、休みなさい!」と指令を出すので、卵巣が働きを抑え始めます。これを内分泌学的に「ネガティブフィードバック」と言い、正常な生理学的反応を利用して排卵を抑え込みます。ですから、ピルを飲み忘れると、血中の女性ホルモンの量が減るので、脳が「女性ホルモンが減ってきたぞ!働け!」と指令を出すと、休んでいた卵巣が再稼働して排卵しますので、飲み忘れには注意が必要です。

(ネガティブフィードバックの例)
【画像】ネガティブフィードバックの例 2019,9,17

 

低用量ピルの効果は?

排卵しなくなるので避妊の効果があります。低用量ピルをきちんと服用した場合、99.7%の避妊効果があります。その他には、月経不順の改善、過多月経の改善、月経前の不快症状であるPMS(月経前症候群)、その重症型であるPMDD(月経前不快気分障害)の改善、肌荒れの改善、月経痛の緩和などの効果があります。また、子宮体癌、卵巣癌、大腸癌のリスクを下げる効果があることもわかっています。
また、応用編として、次回の月経予定を移動させることができるため、試合や旅行、試験などの大事な予定に月経が被らないように調整することができます。しかしながら、試合の間近になって初めてピルを開始してしまうと、吐き気や頭痛などの副作用が出て、逆に困ることになるので要注意です。理想は、2~3か月前に低用量ピルを開始して徐々に身体を慣らして、試合日が近くなった時に月経移動の調整ができればベストでしょう。

(100人の女性が使用1年間で何人妊娠するか=パール指数)

【画像】パール指数(100人、?÷年間) 2019,9,17

 

低用量ピルの注意点は?

避妊効果に優れていても、コンドームを使用しないSEXにより性感染症になる確率は増加します。クラミジアや淋菌、HIV、子宮頸がんの発症に関わるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染もピルでは防げません。ちなみに、HPV感染は低用量ピルの服用期間が長くなるほどリスクは増大しますので、ピルを服用している方は毎年子宮頸がん検診を受けるようにしてください。また、性感染症予防のためにコンドームを使用したSEXを心がけましょう。
飲み合わせに関しては、ドラッグストアの風邪薬、頭痛薬、ビタミン系のサプリメントは問題ありません。特に注意しなければならないのは、精神安定系サプリ「セントジョーンズワート(西洋オトギリソウ)」です。ピルの避妊効果を下げるので飲み合わせNGです。ダイエット系のお茶にも含まれていることがありますので注意が必要です。

 

低用量ピルの副作用は?

重大な副作用としては、血栓症(血の塊ができて血管が詰まってしまう病気)の発症リスクがあることです。さらに、心筋梗塞や脳梗塞の家系、肥満、高齢、喫煙により血栓症のリスクはもっと上がります。また、手術後などで長期間動けない状態になることでも血栓症のリスクが上がりますので、近々手術を予定している方は、低用量ピルを服用していることを主治医に伝えるようにしてください。

 

日本における低用量ピルの活用の状況は?

海外の女性アスリートでは、低用量ピルはすでに常識的になっています。では、日本では?となると・・・
スポーツ庁の研究では、国内トップアスリートの月経に関する異常は40%に見られるものの、産婦人科の受診率はわずか26%という低い結果でした。また、欧米のトップアスリートでは83%が低用量ピルを利用しているものの、日本のトップアスリートではわずか2%の利用率という残念な結果でした。アンケートを取ると、低用量ピルを服用することでコンディション・運動パフォーマンスが悪くなると心配している選手が多いことが分かりました。その結果を踏まえて実施した別の調査では、実際に低用量ピルを利用しても、コンディション・運動パフォーマンスの低下には影響しないという結果でした。このように、日本では、ピルの副作用のイメージを強く持っている方が多く、低用量ピルを始めてみようかなとなかなか思えないのかもしれません。産婦人科医においても、スポーツに参加する女性の医学的問題についての取り組みが体制化されつつあり、2017年4月に東京大学医学部女性診療科に「女性アスリート外来」が開設されました。

女性に排卵や月経があるのは、妊娠するためなのです。身体がそのように機能するのは正常ですが、実際に毎月妊娠したいと思っている人は少ないでしょう。また、鎮痛剤だけで月経痛を気合いや根性で乗り切るのはもう止めましょう。低用量ピルは、正しく服用すれば安全でメリットの多いお薬です。決して怖いお薬ではありません。スポーツ選手に限らず、自分の月経対策やコンディショニングのために、低用量ピルを活用することを選択肢の一つとして持っておくことで、より快適なライフスタイルを送ることができます。また、低用量ピルは、女性が主体的にできる効果の高い避妊法です。低用量ピルにはいろいろな種類がありますので、まずは、クリニックを受診し、自分の身体やライフスタイルに合った低用量ピルについて医師に相談してみましょう。

医療法人社団 予防会ドクター監修コラム

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