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2020.12.15

STDを知る

特集

性器と咽頭のマイコプラズマ・ウレアプラズマ保菌率調査結果について

予防会では、2020年8月~9月に、マイコプラズマ同定検査のキャンペーンを実施しました。その際、渋谷クリニックでは、保菌率調査のために、腟や尿の検査と同時に咽頭のマイコプラズマ・ウレアプラズマ検査を50人の方に参加をご協力いただきました。

この場をお借りしまして、改めてお礼申し上げます。

ありがとうございました。

 

今回実施した保菌率調査の結果は、2020年12月5日~6日に行われました日本性感染症学会第33回学術大会において、「泌尿生殖器と咽頭の同時検体採取におけるマイコプラズマ・ウレアプラズマ検出についての検討」という演題名で口演発表させていただきました。

 

日本性感染症学会は、性感染症の分野における日々の臨床や研究によって得られた最新の知見を発表し、専門家同士が情報を共有する場です。

学会は数千人規模の集会になるため、新型コロナウィルス感染症拡大防止対策上、今回はWebと会場のハイブリッド形式での開催になりました。
私の発表はWebによる発表でした。このWebによる発表形式は、新型コロナウィルスの感染拡大が全国的に問題になりはじめた今年の春以降、ほとんどの学会でおこなわれるようになりました。Web形式の学会の利点は、聞き逃した点を何度も再生して聞くことができることや、クリニックを休診にして会場に行く必要が無いので、患者さんに迷惑をおかけしないですむことです。今後もこのハイブリッド形式の学会が主流になることを個人的に願っています。

 さて、私がこの性感染症学会で発表した内容は、専門家だけに留まらず、広く一般の方にも知っていただいた方が良い内容であるので、このコラムで要約してお伝えしたいと思います。

 

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② 2

③ 3

④ 4

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⑪ 11

 

「マイコプラズマ・ウレアプラズマは常在菌であり、保菌していても無症状のことが多い」と言われてきました。しかしながら、私の印象では、マイコプラズマ・ウレアプラズマ陽性の方は、何らかの症状で困っており、治療によってその症状から解放されるケースが多いと、日常診療で感じており、それを明らかにすることが今回の調査のきっかけです。

調査には、男性14名、女性36名(合計50名)の方に協力していただきました。受診の理由で最も多かったのは、男性では「不安な性行為があったため」、女性では「不快な症状があるため」でした。また「パートナーが陽性になったため」という理由で来院された方もおり、陽性になった場合に相手の体調のことを思って伝えている人たちが一定数いることが伺えました(スライド⑤)。

 調査の結果、マイコプラズマ・ウレアプラズマが泌尿生殖器から検出された人数は、男女合わせて36名で、全体の72%の方が陽性という結果でした。咽頭から検出されたのは、男女合わせて7名で全体の14%であり、泌尿生殖器での検出率に比べて低い結果でした(スライド⑥)。

また、検出された菌種について、泌尿生殖器では、男女ともに、ウレアプラズマパルバムの陽性率が最も高く(スライド⑦)、咽頭では、男女ともに、ウレアプラズマウレアリチカムの陽性率が高い結果でした(スライド⑧)。

症状との関連については、クラミジアや淋菌の同時感染を除いたマイコプラズマ・ウレアプラズマのみの単独感染(男性5名、女性25名)に絞ると、泌尿生殖器で陽性になった男性は5名で、そのうち1名(20%)のみに症状がありましたが、女性では25名のうち21名(84%)もの方に不快な症状があることが判明しました。一方、咽頭で陽性になった男女ともに約半数が症状を認めていました。風邪のひき始めのようなイガイガした感じ、咽頭の違和感などとして感じられるようでした。このように、マイコプラズマ・ウレアプラズマが陽性の場合、実際には、何らかの症状を認めているケースが多いということがわかりました(スライド⑨)。

今回の調査では、男女ともに泌尿生殖器では、4つの菌種の中で、ウレアプラズマパルバムの陽性率が最も高い結果でした。このことは2001年と2009年に日本で実施された性風俗従事(CSW)の女性を対象にした調査と同じ結果になりました。また、咽頭では、男女ともにウレアプラズマウレアリチカムが最も多く検出されましたが、2009年に実施された調査結果ではマイコプラズマホミニスが多く検出されており、今回の調査とは異なる結果でした。このように、マイコプラズマ属の4種類の菌の中で、泌尿生殖器からウレアプラズマパルバムが最も多く検出されるということに関しては一致していましたが、咽頭では、2009年の結果と今回の結果は異なっていました。これは、今回の対象者数が少なかったことや、マイコプラズマ・ウレアプラズマは、何らかの原因で、咽頭に定着しにくい、あるいは、検出されにくいことが推察されました。私どもの調査の特徴は、調査対象がCSWの女性に限らず、男性や一般の女性も含まれている点と、症状との関連性について調査した点ですが、50人という小規模調査のため、説得力としては不十分であり、今後は症例数を増やして研究を進めていく必要があると考えています。(スライド⑩)。

一般的に、排尿時の違和感やおりものの異常がある場合は、クラミジアや淋菌感染を疑い検査をすることが常識的です。しかし、その結果が陰性だった場合は、男性では非淋菌性非クラミジア性尿道炎、女性では細菌性腟炎や細菌性腟症と診断し、抗菌薬による治療をします。淋菌でもない尿道炎や腟炎の原因となる菌は様々ありますが、そのうちクラミジアが約50%で最も多く、次いでマイコプラズマ・ウレアプラズマの順になります。しかし、今後、マイコプラズマ同定検査を受ける方が増えてくると、マイコプラズマ・ウレアプラズマの方がクラミジアよりも多くなる可能性があるという報告もあります。

尿道炎や腟炎の原因がマイコプラズマやウレアプラズマの場合は、適切な抗菌薬の選択をしなければ、なかなか治りにくく、いったん症状がおさまっても、また再発したりします。

今回の調査では、特に女性の子宮周辺の痛み、下腹部痛や性交時痛の重い症状があり検査をした結果、マイコプラズマやウレアプラズマが検出されるケースもありました。

しかしながら、マイコプラズマ同定検査は保険適用外の検査のため、ほとんどの方はこの検査の存在を知らないか、知っていても検査を受けることを躊躇します。したがって、マイコプラズマ・ウレアプラズマ感染による症状が強く疑われる場合には、医療者側からこの検査の必要性を説明することが重要になると考えています。

 今回の日本性感染症学会では、他の施設からもマイコプラズマホミニスが手術後の膿瘍形成に関わっていた症例についての発表がありました。また、別の産婦人科関係の学会でも、ウレアプラズマパルバムによる重篤な骨盤腹膜炎の症例が報告されるなど、最近はマイコプラズマ・ウレアプラズマの病原性に着目した発表が増えています。

 このように、今までわかっていなかったマイコプラズマ・ウレアプラズマに関することが徐々に明らかにされてきており、「マイコプラズマ・ウレアプラズマは常在菌であるから治療しない」というスタンスは、もはや古いと言わざるを得ません。

 私どもの今回の調査を通じて、マイコプラズマ・ウレアプラズマの感染によって、非常に多くの方がお困りである事実が明らかになりました。さらには、検査を受けることができない患者さんが潜在的に多くいらっしゃることも考慮すると、マイコプラズマ同定検査をもっと身近な検査にするために、一刻も早い保険適用化が急務であると感じています。

今回、日本性感染症学会で発表する機会が得られ、マイコプラズマ・ウレアプラズマについての知見を全国規模で発信することができたことは、とても意義のあることだと思っています。今後もマイコプラズマ・ウレアプラズマについての最新の知見を貪欲に収集し、この感染症で困っている患者さんを少しでも減らせるように精進していきたいと思っています。

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