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2021.05.17

特集

もしかしたら性病かも・・・ 定期的なSTD検査セットのススメ

性器感染症の検査は定期的に、セットで受ける必要があります。その理由について説明していきます。

性器感染症の症状の類似性

代表的な性器感染症としては、淋菌、クラミジア、カンジダ、トリコモナス、マイコプラズマ、細菌性膣症(亀頭炎)などがあります。

女性において、淋菌、クラミジア、マイコプラズマの症状は似ていて、おりものが増える程度です。無症状のことも多くあります。カンジダ、トリコモナス、細菌性膣症においては、おりものに性状の変化が生じますが、似ていることもあります。

男性においても、淋菌、クラミジア、トリコモナスの症状は似ていて、尿道違和感、分泌物が中心となります。また、無症状のこともあります。カンジダ、細菌性亀頭炎は亀頭の発赤が中心となりますが、分泌物が淋菌、クラミジア、トリコモナスと見分けがつかないこともあります。

したがって、いずれも症状だけで正しく判断することは困難です。

例えば、おりものの変化で来院し、検査によりクラミジア、淋菌いずれかが陽性であった人の中で、クラミジア陽性だった人、淋菌陽性だった人はそれぞれ約半数ずつであったという報告があり(1)、症状だけで判断することが不可能であることを示しています。

性器感染症の治療の差異

それぞれの性器感染症の治療法は異なります。かつてはレボフロキサシンという薬で淋菌、クラミジア、マイコプラズマが治療可能であり、経験的に頻用された時代もありました。しかし、特に淋菌の薬剤耐性化が進行し、現在では、レボフロキサシンにほとんど耐性となり(2)、正しく診断し、適切な治療薬を選択しなければ、治癒不可能になりました。

 

淋菌はセフトリアキソン、クラミジアはアジスロマイシン、カンジダはフルコナゾール、トリコモナスはメトロニダゾール内服、マイコプラズマはアジスロマイシンもしくはスタフロキサシン、細菌性膣症(亀頭炎)はメトロニダゾール局所治療がそれぞれ中心薬剤となります。中心薬剤はそれぞれ異なっており、間違って判断して治療しても治癒しません。正しく診断する必要があります。

【なぜセット?】④

また、正しくない薬剤を使うことで、余剰な治療となってしまい、抗菌薬使用量が増え、社会全体で性器感染症の薬剤耐性化が進行し、将来、全ての抗菌薬が効かなくなり、治癒不可能となってしまう可能性もあります。こういった事態を避けるため、WHOで薬剤耐性アクションプランが採択・始動され、医療として、感染症治療のために適切な診断をすることが必要となっています。

混合感染の実態

性器感染症が生じると、性器に炎症を引き起こします。炎症状態となると、粘膜のバリヤ機能が低下し、異なる感染症にも感染しやすくなります。特に注意すべき性感染症である、淋菌、クラミジアにおける、混合感染は30%を超えるといわれています(3)。また、例えば細菌性膣症を発症していると各性器感染症の感染リスクを上昇させることが知られており、複数の性器感染症に感染している事象が多いことが示されています(4)。

【なぜセット?】③

 

性器感染症放置の危険性

クラミジア、淋菌、トリコモナスを放置していると、卵管炎、卵巣炎を引き起こし、不妊の原因となることがあります。また、骨盤内炎症性疾患(PID)と呼ばれる状態に至り、重篤な状態となり、手術が必要になる可能性もあります。淋菌は、播種性淋菌感染症と呼ばれる菌血症を引き起こし、死に至ることもあります。

クラミジア、淋菌、カンジダ、トリコモナス、マイコプラズマ、細菌性膣症いずれも妊婦が感染していると、早産の原因となることが知られています。さらに、新生児にも感染し、肺炎などを引き起こすことがあります。

 

定期的なSTD検査セットのススメ

まとめると、

・症状が似ていて検査しないと正しく診断できない

・適切な治療薬を使用しなければ治癒しない

・混合感染のことも多い

→検査セットで検査する必要があります

・無症状のことも多い

・放置していると不妊、重篤、死、早産に繋がることがある

→定期的な検査の必要があります。

 

1) Sheele JM, Smith J, Niforatos JD, Wessling E, Hilliker B, Bragg B, Mandac E. History, Physical Examination, and Laboratory Findings Associated with Infection and the Empiric Treatment of Gonorrhea and Chlamydia of Women in the Emergency Department. Cureus. 2019 Dec 27;11(12):e6482.

2) Workowski KA, Berman SM, Douglas JM Jr. Emerging antimicrobial resistance in Neisseria gonorrhoeae: urgent need to strengthen prevention strategies. Ann Intern Med. 2008 Apr 15;148(8):606-13..

3) Nsuami M, Cammarata CL, Brooks BN, Taylor SN, Martin DH. Chlamydia and gonorrhea co-occurrence in a high school population. Sex Transm Dis. 2004 Jul;31(7):424-7.

4) Wiesenfeld HC, Hillier SL, Krohn MA, Landers DV, Sweet RL. Bacterial vaginosis is a strong predictor of Neisseria gonorrhoeae and Chlamydia trachomatis infection. Clin Infect Dis. 2003 Mar 1;36(5):663-8.

https://yoboukai.co.jp/article/1522

 

【YouTube動画】

【画像】検査・・

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クラミジア

カンジダ

トリコモナス

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細菌性膣症(亀頭炎)

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記事の執筆


著者情報 新宿サテライトクリニック 院長 北岡 一樹(きたおか かずき)

予防会 新宿サテライトクリニック 院長
早稲田大学招聘研究員

北岡 一樹(きたおか かずき)

三重大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院で研修を行った後、内科勤務しながら、名古屋大学大学院細菌学博士課程へ入学。薬剤耐性菌研究に携わり、博士(医学)取得。
その後、早稲田大学で招聘研究員として研究を開始。同時に、医療法人社団予防会新宿サテライトクリニックで性感染症診療も開始し、現在、院長を務めている。
性感染症について診療だけでなく研究も行っており、ファージを用いた性感染症予防の実現(性感染症予防のゲームチェンジャー)に取り組んでいる。

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