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予防会からのお知らせや、性感染症(STD)に関するコラムをお届けします。


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2022.06.17

淋菌

STDを防ぐ

特集

クラウドファンディング「感染症に苦しむ犬猫たちを救うために、感染症治療法の研究を」達成の御礼

予防会は、性感染症の検査・治療を中心に取り組んでいますが、薬の効かない菌(薬剤耐性菌)の増加による感染症の治療困難化に備えるため、新しい感染症治療法の研究開発にも取り組んでいます。特に注力しているのが、ファージセラピーと呼ばれる治療法です。様々な取り組みを進めていて、その1つとして、犬や猫の感染症へファージセラピーを応用する研究があり、その研究資金を集めるためのクラウドファンディングを2022年4月25日から開始し、6月14日に目標金額(150万円)まで達成することが出来ました!本当にご支援賜りありがとうございました!

 

予防会の取り組みについて


性感染症含め、感染症には、薬剤耐性菌の脅威が迫っています。2050年には耐性菌による感染症の死亡が世界第一位の死因となると予想され(1)、性感染症においても、例えば、淋菌に対する第一選択薬のセフトリアキソンの耐性菌が増加し、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)から、セフトリアキソン単独療法は推奨しないと発表されるに至っています(日本と欧米では用量が異なるため、日本の用量では現在でも単独療法が可能と言われてはいます)(2)。


そこで、予防会グループの1つである新宿サテライトクリニックの院長を務める北岡を中心として、早稲田大学と協同し、新しい感染症治療法の研究開発にも取り組んでいます。

【画像1】 2022,6

 

クラウドファンディングについて


現在注力しているのが、バクテリオファージという細菌にのみ感染する生物を使用したファージセラピーという治療法の実用化です。ファージセラピーとは、バクテリオファージという細菌にのみ感染する生物を用い、感染症を引き起こしている細菌を死滅させて、感染症を治癒する治療法です。


様々な検討を重ね、映画「犬部!」のモデルとなった、保護犬猫活動の第一線でご活躍されているハナ動物病院の太田先生、さらには国内で数人しかいないアジア獣医皮膚科専門医でおられる村山先生のご協力を得て、まずは、犬猫の感染症に対するファージセラピーの実用化を目指すことにしました。犬猫の感染症は、ヒトよりももっと薬剤耐性化が進行し、悲惨な状況です。例えば、膿皮症と呼ばれる皮膚感染症において、薬剤耐性菌が67%を占めているという報告があります(3)。実際に、薬剤耐性菌により犬や猫の感染症を治せないことがあり、そのような場合、犬や猫は痛みや痒みが止まらず、夜も十分に寝ることができず、一日中しょんぼりしているようになります。


昨今、製薬会社はコストが見合わない等の理由から新しい感染症治療薬の開発を行わなくなっており、医療機関として独自に開発する必要があります。しかし、予防会だけでは規模が小さく、研究費という面で苦労しており、2022年4月25日より研究費を集めるクラウドファンディングを開始しました(https://readyfor.jp/projects/yoboukai2022
)。

 

 

クラウドファンディングの達成


研究費を集めるという、少し珍しいクラウドファンディングテーマであったため、最初は困難もありました。
しかし、太田先生のインスタグラムの紹介(https://www.instagram.com/p/CdnajBcJbSx/)や、獣医先生方とのYouTubeライブ(https://youtu.be/App4dXyYHcM)、各種記事に取り上げていただいたことで(https://dfilm.jp/kitaoka_kazuki/)(https://media.dogpad.jp/health/56063/)、少しずつご支援をいただけるようになっていきました。


そして、各種SNSでの発信も続け(https://www.instagram.com/kitaokakazuki/)(https://www.facebook.com/kkzuki.of.mskk/)(https://twitter.com/kazukimizukiros)、外来患者さんからも温かいご応援・ご支援を賜り、6月14日に目標金額の150万円を達成することが出来ました。

 

 

今後の研究について


既に本研究(犬猫の感染症にファージセラピーを応用し、不治となる未来を防ぐための研究)は開始しており、改めて、研究内容についてイラストに示します。

【画像3-2】2022,6

いただいたご支援は、この研究の研究費として使用させていただきます。


現在のところ、感染症にかかっている犬猫達から、感染症を引き起こしている菌を集め、流行株を抽出する作業を行っています。

 

太田先生、村山先生にご協力いただき、病院から検体を収集し、分離・保存した後、PCRにより、犬猫の感染症の主要な病原菌である、S. pseudintermediusであるか判定しました。さらに、今回研究している、ファージを使った感染症治療法においては、ファージの効果のある宿主域が狭いということがあり、流行株に絞って効果のあるファージを探索しようとしています。そこで、S. pseudintermediusの流行株を抽出しました。

【画像3】2022,6
流行株の判定方法は、S. pseudintermediusの複数の遺伝子を検出し、その配列を読むことで行われます。写真は、その過程で行った、電気泳動という実験の結果の一部で、無事、複数の遺伝子を検出することが出来ました。その後、配列を読み、流行株を複数取得できていたことが分かりました。

 

そして、次は、とうとう、この流行株に対して、殺菌効果のある薬としてファージを見つける作業へ進む予定です。良いファージをなんとか取得し、犬猫感染症の新しい治療法の実現を目指して、直往邁進いたします。

このコラムでも定期的に研究進捗をご報告いたします。

 

 改めてとなりますが、この度はクラウドファンディングにご支援賜り、誠にありがとうございました。様々な方から応援コメントをいただき、皆様が、感染症が不治となることを危惧されており、新しい治療法の実現を願われていることを認知いたしました。なんとか新しい治療法実現目指して頑張ります。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

 

1) Tackling Drug-Resistant Infections Globally:Final Report, WHO, 2016
2) St Cyr S, Barbee L, Workowski KA, Bachmann LH, Pham C, Schlanger K, Torrone E, Weinstock H, Kersh EN, Thorpe P. Update to CDC’s Treatment Guidelines for Gonococcal Infection, 2020. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020 Dec 18;69(50):1911-1916.
3) Kawakami T, Shibata S, Murayama N, Nagata M, Nishifuji K, Iwasaki T, Fukata T. Antimicrobial susceptibility and methicillin resistance in Staphylococcus pseudintermedius and Staphylococcus schleiferi subsp. coagulans isolated from dogs with pyoderma in Japan. J Vet Med Sci. 2010 D

記事の執筆


著者情報 新宿サテライトクリニック 院長 北岡 一樹(きたおか かずき)

予防会 新宿サテライトクリニック 院長
早稲田大学招聘研究員

北岡 一樹(きたおか かずき)

三重大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院で研修を行った後、内科勤務しながら、名古屋大学大学院細菌学博士課程へ入学。薬剤耐性菌研究に携わり、博士(医学)取得。
その後、早稲田大学で招聘研究員として研究を開始。同時に、医療法人社団予防会新宿サテライトクリニックで性感染症診療も開始し、現在、院長を務めている。
性感染症について診療だけでなく研究も行っており、ファージを用いた性感染症予防の実現(性感染症予防のゲームチェンジャー)に取り組んでいる。

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