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予防会からのお知らせや、性感染症(STD)に関するコラムをお届けします。


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2023.01.16

淋菌

STDを防ぐ

特集

世界最大の死因となる「薬剤耐性菌による感染症」を予防するための、薬剤耐性菌保菌検査

現在、新型コロナウイルスで危機的な状況が続いていますが、実は、「薬剤耐性菌による感染症」による脅威も進行しています。

これは2050年には世界最大の死因となり、不治の病となると予想されています。そうなった場合、将来的には、「薬剤耐性菌」による肺炎や尿路感染症で沢山の人が亡くなるようになってしまいます。

「薬剤耐性菌による感染症」に対する対策は限られていますが、その一つとして、薬剤耐性菌を保菌していないか知り、除去を目指すことで「薬剤耐性菌による感染症」の発症を防ぐということがあります。特に、性感染症治療で抗生物質を頻用されている方においては、知らず知らずのうちに腸内や咽頭に薬剤耐性菌を保菌している可能性があり注意が必要です。新宿サテライトクリニックにおいて「薬剤耐性菌保菌検査」を行っており、そのご紹介を致します。

サムネ用

 

感染症を巡る今後の世界について

 

2019年に新型コロナウイルスが発生し、パンデミック(世界的な規模での流行)となっています。私は医学生の際に、感染症の授業でパンデミックやエンデミック(一定地域での流行)を習い、こういうことがあるのかと思いましたが、まさか現実になるとは思っていませんでした。

実は、新型コロナウイルスの悲惨な拡散の裏で、薬剤耐性菌感染症の脅威も進行しています。

医学生の頃に、私はパンデミックの存在に衝撃を受けたと述べましたが、もう一つ研修医の頃に衝撃を受けたことがあります。オーニールレポート呼ばれるもので、2050年には世界の最大の死因が、「ガン」から「薬剤耐性菌による感染症」に代わるという報告でした(1)。

その時まで、感染症は基本的には制圧された病気だと思っていました。危険な病原菌も確かに存在はするのですが、現在使用されている抗生物質は基本的に良く効いているように感じていました。

「薬剤耐性菌」というのは、「既存の薬が効かない機構を獲得した菌」のことです

何らかの抗生物質が効かなくなった菌です。薬剤耐性菌は事実、増加の一途をたどっており、これらによる死亡は年々増加しています。そして、2050年には世界最大死因となり、世界最大の不治の病となることが推定されています。

薬剤耐性菌記事用2
薬剤耐性菌記事用2.5
 

 

皆様ができること

 

非常に危機的な「薬剤耐性菌による感染症」に対して、WHOから「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」というものが発出され、様々な対策に取り組まれています。

しかし、決定的なものはありません。抗生物質に代わる効果的な新規治療法は未だ実現されていません。予防会としては、ファージセラピーと呼ばれる新規治療法の実現に取り組んではいますが、まだ不十分です。

医療機関が取り組むことは、新規治療法の開発や、抗生物質の適正使用などがあります。それでは、一般市民として取り組むことはないのでしょうか?

取り組みことができることの一つとして、薬剤耐性菌の保菌を調べるということがあります。

薬剤耐性菌は、基本的にヒトや環境中から知らず知らずのうちにやってきて、腸内や咽頭で保菌されます。そして、体が消耗している時に、感染症として発症します。それによって死に至ることが増え、2050年には世界最大死因となるとされています。

性感染症を何回も治療していることで、性感染症が薬剤耐性菌になり治りにくくなるのではないか?という質問をよく受けますが、性感染症は基本的に毎回外からやってくるので、それはありません。一方、抗生物質を頻回飲むことにより、薬剤耐性菌が保菌されやすくなり、薬剤耐性菌による感染症で死に至るリスクが増えます。

そこで、薬剤耐性菌の保菌を調べることで、まず、自分が、そのようなリスクがあるのかを知ることができます。保菌を効果的に除去する方法はありませんが、乳酸菌飲用や健康的な生活や食事を続けると、自然に無くなることが多いと言われています(2, 3)。したがって、保菌していた場合は、健康的な食事・生活や乳酸菌飲用を心がけることで、薬剤耐性菌による感染症による死を回避することに努めることができます。また、自分が薬剤耐性菌を保菌しているうちは、様々な疾患で消耗しているような人との接触には気を付けるといった行動も取ることができるようになります。

薬剤耐性菌記事用3
 

 

予防会における薬剤耐性菌検査の紹介

 

以上のように、将来的に世界最大の死因となり、不治の病となる「薬剤耐性菌による感染症」があり、その対策の一つとして、薬剤耐性菌の保菌を調べることがあるということを述べました。

予防会では、新宿サテライトクリニックにおいて、薬剤耐性菌の保菌検査を行っています。

保菌を検査するということは、治療に当たらないのでなかなか通常の病院で保険診療では行うことができず、他に行っている機関はありません。

薬剤耐性菌には色々ありますが、2種類の検査を用意しています。1つは、カルバペネムという現在最強の抗生物質にも耐性を示すことがあり、増加の一途をたどっている、ESBL産生菌という薬剤耐性菌の咽頭・腸内保菌をターゲットとします。もう1つは、最も世界中に流布しているMRSAという薬剤耐性菌の咽頭・腸内保菌をターゲットとします。検査をご希望される方は、新宿サテライトクリニックまでご受診ください。

 

 

まとめ

 

「薬剤耐性菌による感染症」が将来、最大の死因となる

対策の一つとして「薬剤耐性菌保菌検査→健康的な食生活を心がけることで除去」がある

性感染症治療経験が多く、抗生物質服用が多い方々は薬剤耐性菌を保菌しやすく、検査をオススメ

(1)Tackling Drug-Resistant Infections Globally:Final Report, WHO, 2016

(2)Le Guern R, Stabler S, Gosset P, Pichavant M, Grandjean T, Faure E, Karaca Y, Faure K, Kipnis E, Dessein R. Colonization resistance against multi-drug-resistant bacteria: a narrative review. J Hosp Infect. 2021 Dec;118:48-58.

(3)Tsigalou C, Konstantinidis T, Stavropoulou E, Bezirtzoglou EE, Tsakris A. Potential Elimination of Human Gut Resistome by Exploiting the Benefits of Functional Foods. Front Microbiol. 2020 Feb 11;11:50.

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記事の執筆


著者情報 新宿サテライトクリニック 院長 北岡 一樹(きたおか かずき)

予防会 新宿サテライトクリニック 院長
早稲田大学招聘研究員

北岡 一樹(きたおか かずき)

三重大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院で研修を行った後、内科勤務しながら、名古屋大学大学院細菌学博士課程へ入学。薬剤耐性菌研究に携わり、博士(医学)取得。
その後、早稲田大学で招聘研究員として研究を開始。同時に、医療法人社団予防会新宿サテライトクリニックで性感染症診療も開始し、現在、院長を務めている。
性感染症について診療だけでなく研究も行っており、ファージを用いた性感染症予防の実現(性感染症予防のゲームチェンジャー)に取り組んでいる。

性感染症が不安な方へ

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