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予防会からのお知らせや、性感染症(STD)に関するコラムをお届けします。


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2023.11.15

STDを防ぐ

特集

性感染症予防薬開発事業でTOKYO STARTUP GATEWAY2023の決勝大会(11/26)に参加します!

予防会は、性感染症の検査・治療に取り組んでいます。
加えて、性感染症を予防できる新たな薬の開発・導入を目指しています。

性感染症はコンドームしか性感染症予防法がありません。
(有用な手段であるものの、着用しないと防げませんし、確実ではありません)

この現状を変えるべく、新宿サテライトクリニック院長である私、北岡が早稲田大学と共同し、ファージと呼ばれるものを用いて、性感染症予防のブレイクスルー(ゲームチェンジャー)を起こそうとしています。

既に患者様には検体採取にご協力いただいております。

この事業で東京のスタートアップコンテストである、TOKYO STARTUP GATEWAY2023に参加しており、一次選考・二次選考・最終選考を通過し、ファイナリスト(倍率約300倍!)となりました。

TSGサムネイル2

そして、11/26の決勝大会に参加します!

 

 

 

性感染症と不妊、その予防策

 

性感染症検査・診断・治療を進める中で、性感染症により不妊となった方々を多数診てきました。

性感染症はたとえ適切に治療したとしても不妊となってしまうリスクがあります。

そもそも、無症状の場合が多く、気が付きにくいです。
それらにより、不妊の原因の1/3を性感染症が占めると報告されています(1)。

性感染症と不妊
 

性感染症を予防するには(特に淋菌やクラミジアにおいては)、現在、コンドーム着用しかありません。

しかし、確実ではなく(予防効果は82%と報告されています(2))、着用率は低く(36~70%(オカモトラバーズ研究所))、着用も男性に依存しています。

着用できない場合もあり、性の低年齢化により未着用率も増加しています。
そこで、より良い性感染症・不妊予防法の研究を進めることとしました。

 

 

性感染症の予防薬になる!?ファージについて

 

子宮頸がんを予防するHPVワクチンのように、まずはワクチンを検討しました。

しかし、性感染症原因菌は抗原がよく変わるため開発が困難でした。

そこでバクテリオファージに着目し、ワクチンのように使用することを考えました。

ファージは細菌を食べるウイルスです。

環境中のいたるところに存在しています。
特定の細菌のみ殺菌し、ヒトは全く影響しないため、予防投与が可能です。

ファージについて
 

世界的学術誌Cellに特集され、世界的な臨床試験数は急増しています(3)。
実際にアメリカではソーセージの加工時の殺菌に使用されたり、日本でも化粧品として売られていたりします。

一方、ファージは効果のある範囲が狭く、事前準備出来ないのが課題でした。

そこで、新宿サテライトクリニック院長北岡と早稲田大学で共同研究を進め、流行株という概念を導入することで、広く感染し、事前準備可能なレディーメイドファージを開発しました。

論文にも報告済みです(4)。

 

 

ファージ×性感染症予防

 

このレディーメイドファージを膣錠や膣洗浄液の形で、性感染症予防薬として提供します。

コンドームのような物理的障壁がないため、忌避感がなく、コンドーム非着用でも可能な性感染症予防となります。

性行為の前に投与(数日間は効果が持続)するパターンや、性行為の後に投与して感染を防ぐパターンまで検討しています。
特に事後投与はファージならではの利点です。

ファージ商品化イメージ
 

まずは医薬品として承認を進め、それからOTC薬(薬局で売られている薬)を進め、将来的にはコンドームと同様にどこでも、誰でも、性感染症予防のために購入できるようになることを目指します。

 

ファージ×性感染症により、コンドームしかない性感染症予防法のゲームチェンジを起こします。

そして、誰もが性感染症やそれに伴う不妊に悩まない世界の実現を目指します!

 

現在は、早稲田大学とファージの製剤化に向けて、研究開発を進めています。

 

また新宿サテライトクリニックに来院された患者様からは、ファージ検索のため検体採取にご協力賜っております。
(医療法人社団予防会倫理審査委員会2023-02、2023-03)

ご協力いただいた皆様に、深く感謝申し上げます。

 

 

TOKYO STARTUP GATEWAY2023決勝大会

 

昨今の製薬業界においては、ベンチャー企業で新規製剤の開発を進めることが主流となっています。

そこで、新宿サテライトクリニック院長北岡が製薬ベンチャーを起業し、本事業を進めていくことを考えています。

本事業は「製薬」であるため、多額の資金調達が必要であり、その周知も兼ねて、TOKYO STARTUP GATEWAY2023に応募しました。

TOKYO STARTUP GATEWAYは東京発の起業家を輩出するスタートアップコンテストです。
TSG2023決勝大会HPはこちらからご覧いただけます
https://tokyo-startup.jp/final2023

2023年で10周年となり、今まで数々のスタートアップ企業が生まれています。

今回、2963人が応募した中から、3回にわたる選考を勝ち抜き、ファイナリスト10人(倍率約300倍!)に残ることができました。

tsg紹介ページ
 

決勝大会は11/26に行われます。
また、無料で観覧やオンライン配信も行われますので、ご興味がありましたら、ご閲覧いただければ幸いです。
観覧はこちらからお申込みいただけます
https://tokyo-startup.jp/final2023/audi-app

良い成績を残し、少しでも早く、性感染症予防薬をお届けできるよう努力します。

 

 

まとめ

 

性感染症予防法はコンドームしかない→確実でない、着用しなければ防げない
性感染症は感染するだけで不妊のリスク
予防会はファージを使って、性感染症予防薬を開発中→性感染症予防のゲームチェンジ
TOKYO STARTUP GATEWAY2023ファイナリストに選出→11/26決勝大会へ

 

1) elvic inflammatory disease: is it overstated? Obstet Gynecol 1995; 86:321.
2) Crosby RA, DiClemente RJ, Wingood GM, Lang D, Harrington KF. Value of consistent condom use: a study of sexually transmitted disease prevention among African American adolescent females. Am J Public Health. 2003;93(6):901-902.
3) Strathdee SA, Hatfull GF, Mutalik VK, Schooley RT. Phage therapy: From biological mechanisms to future directions. Cell. 2023;186(1):17-31.
4) Yamamura S, Kitaoka K, Yamasaki Y, et al. Relationship between Phage Lytic Spectra and Sequence Types in Extended-Spectrum β-Lactamase-Producing Escherichia coli Isolated in Japan. Jpn J Infect Dis. 2022;75(6):623-626.

記事の執筆


著者情報 新宿サテライトクリニック 院長 北岡 一樹(きたおか かずき)

予防会 新宿サテライトクリニック 院長
早稲田大学招聘研究員

北岡 一樹(きたおか かずき)

三重大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院で研修を行った後、内科勤務しながら、名古屋大学大学院細菌学博士課程へ入学。薬剤耐性菌研究に携わり、博士(医学)取得。
その後、早稲田大学で招聘研究員として研究を開始。同時に、医療法人社団予防会新宿サテライトクリニックで性感染症診療も開始し、現在、院長を務めている。
性感染症について診療だけでなく研究も行っており、ファージを用いた性感染症予防の実現(性感染症予防のゲームチェンジャー)に取り組んでいる。

性感染症が不安な方へ

性感染症は、早期発見と正しい治療が大切です。
予防会なら、保険証不要・匿名で誰にも知られずに性感染症の検査を受けることができます。全国のクリニックでも検査が可能ですし、お時間がない方や病院に行くのは抵抗があるという方は、郵送検査キットをご活用いただくのもオススメです。

予防会では、はじめて検査を受ける方に向けて、わかりやすくマンガで解説しています。是非ご覧ください。

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