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2018.05.21

ニュース

エイズ かつて死の病、今は早期発見で治療可能に

H30,5,18 HIVnews

朝日新聞 2018年5月18日06時00分
弘前大学医学部付属病院輸血部診療教授 玉井佳子

エイズは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染によって引き起こされる病気で、はじめての患者は1981年に米国で見つかりました。正式名称は、「後天性免疫不全症候群」(AIDS)といいます。HIVは、私たちの抵抗力(免疫)の司令塔的役割を担っているヘルパーTリンパ球(CD4陽性リンパ球)に感染して死滅させ、免疫不全状態にしてしまいます。

免疫が機能しない結果、通常では問題にならないような弱毒性の病原体に感染(=日和見感染)するようになります。代表的な23の指標となる病気を発症した時点で、エイズを発症したと診断されます。HIV感染症とエイズは異なる状態を示すものなので、区別する必要があります。

主な感染経路としては、性行為感染、血液感染、母子感染があります。全体の約90%が性行為感染です。性行為感染の多くは男性の同性間性行為ですが、異性間の性行為でも感染

します。予防にはコンドームの使用が有効です。まれに静注薬物使用(違法薬物使用時の針の回し打ち)での感染が報告されています。極めてまれに輸血による感染の可能性がありますが、通常の日常生活で唾液(だえき)や汗などから感染することはありません。

HIVに感染したことに気付かずにいると、帯状疱疹(ほうしん)や口腔(こうくう)内カンジダ症などの免疫機能が低下した場合に発症する疾患に反復してかかりやすくなったり

、慢性の下痢や体重減少、原因不明の発熱を生じたりします。肺炎(ニューモシスチス肺炎)や結核の発症も多いので、頑固なせきが持続する場合はHIV感染症の可能性も考えなければいけません。

20世紀は「エイズ=死の病」と考えられていました。しかし、HIVによく効く治療薬が開発されたことで、現在は感染を早期に発見し、治療を受ければ普通の生活を送ることが可能です。エイズ、HIV感染症はもはや死の病ではありません。

感染の疑いがある場合には早めに検査を受けてください。県内の保健所では匿名・無料でHIV検査を実施しています。感染が判明した場合には全国に約380カ所あるエイズ拠点病院(青森県では青森県立中央病院、弘前大学医学部付属病院、八戸市立市民病院、国立病院機構弘前病院の4病院)を受診して治療を受けましょう。詳細は、青森県庁ウェブサイト(青森県STOP AIDS)をご覧ください。

皆さんは、日本にどれくらいのHIV感染者がいるのかご存じでしょうか。

2016年末時点での累積報告件数は、血液製剤による感染例を除き約2・7万件です。16年の新規HIV感染者報告件数は1011件、エイズ発症報告件数は437件です。先進国でエイズ発症者が減少していないのは日本だけです。

1日に約4人が新規感染者として見つかっていますが、検査を受けていない感染者は、もっとたくさんいるはずです。17年3月に厚生労働省は「約5800人がHIV陽性を知らずに日本で生活している(潜在的HIV陽性者)」という推計を発表しました。

ひとりでも多くの人がHIV感染症に正しい知識を持って早期発見・治療に努めましょう。早期発見は本人の健康回復に寄与するだけでなく、社会における感染拡大の防止になります。

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