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2017.12.25

ニュース

「梅毒」急増中の日本、世界は「淋病」制御不能時代を危惧

2017.12.24 15:00 産経ニュース

世界保健機関(WHO)のジュネーブの本部。2017年7月、抗生物質が効かない淋菌感染症「淋病」が増加し、制御不能になる可能性があるとの声明を出した(ロイター)
日本の国立感染症研究所の発表によれば、日本の梅毒感染者は11月下旬までの速報値で5千人を超えた。5千人超えは昭和48年以来で44年ぶりだ。増加傾向にあるのは日本だけでなく、米国でも梅毒感染者は急増中で、米疾病対策センター(CDC)によると、2000年に6千人だったのが、16年には約2万7800人となった。ただ米国の場合、性感染症のうち梅毒より深刻なのはクラミジアや淋病だという。特に淋病に関しては、既存の抗生物質が効かない症例が世界的に増加しているようだ。

 

世界的な脅威に

 

世界保健機関(WHO)は今年7月、既存の抗生物質に耐性を持つ「淋菌」(淋病の病原菌)が増えており、淋病が制御できない状況に陥る可能性がある、との声明を発表した。

抗生物質に耐性があるという、いわゆる「スーパー淋病」に関しては、2012年の段階で、WHOが世界的に拡大していると警告を発出。ロイター通信は当時、08年に京都で確認された症例について研究者らが報告し、世界的な脅威になる恐れを指摘したと報じていた。

淋病は、淋菌の感染による性感染症で、尿道炎などを引き起こすが、治療しないと骨盤感染症や子宮外妊娠、死産や不妊などにつながる可能性がある。また、何度も再感染することもある。
豪州でも深刻
淋病感染者は世界で毎年約8000万人に上るといい、CDCによると、米国では2016年に約47万人が感染した。ちなみに米国の場合、性感染症のうち、最も患者数が多いのはクラミジア症で約160万人だった。

淋病の深刻な状況はオーストラリアでも報告されている。

米CNNによれば、オーストラリアの16年の淋病感染者は2万3800人超となり、5年間で6割以上も増加した。内訳は、男性が約75%。年齢別での感染率では、男性は20代、女性は15~24歳が最も高かった。さらに大都市圏では12年から16年にかけての感染率が99%増加したという。

オーストラリアでの症例でも抗生物質が効きにくくなっていることが判明しており、淋病が治療不能になることへの危機感が叫ばれているようだ。世界的に広がりをみせる淋病に対し、WHOなどは新薬の開発が急務だとしている。
梅毒、早めに受診を
一方、日本で急拡大中の梅毒は、主に性行為で感染し、性器や唇などに赤い発疹ができる。抗菌剤で治療できるが、放置すると脳や心臓に重い合併症を起こすこともある。

国立感染症研究所が11月に発表した速報値によると、感染者は東京1561人、大阪703人、愛知310人、神奈川286人、福岡202人-などで、都市部に多い。

厚生労働省は「早期発見すれば治療と感染拡大防止につなげられる。不特定多数との性行為など、気になる人は早めに受診してほしい」と呼びかけている。

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