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2020.03.13

STDを治す

特集

~性器ヘルペスの治療は、最初が肝心・再発はコントロールできる~

性器ヘルペスについて

 

<前回のコラムのまとめ>
前回のコラムでは、ヘルペスウィルスの最大の特徴である潜伏感染についてお話ししました。性器ヘルペスの原因である単純ヘルペスウィルス(HSV)は、一度感染すると腰仙髄神経節に潜伏し、何らかの原因で免疫が低下したときに、潜伏感染状態から増殖を開始(再活性化)し、神経節から皮膚へ移動して再発します。

 
性器ヘルペスで問題になるのが、この再発です。頻繁に再発する方は7人に1人程度で、再発の症状は軽度です。しかし、いつか再発するのではないか?再発でパートナーや家族へ感染させてしまうのではないか?という不安を抱え、日常生活に支障をきたしている患者さんが多いのもこの疾患の特徴です。

 

今回のコラムは、性器ヘルペスの治療 についてです。
再発の症状が出るたびに病院を受診するのではなく、再発を抑える目的であらかじめ抗ヘルペス薬を服用する効果的な治療法があります。

 

ヘルペス② 目次 2020,3,13

 

5. 性器ヘルペスの治療は?

「初発の治療はガッツリと・再発の治療は早めの内服」がポイント!
性器ヘルペスは、無治療の場合、症状が治まるまでに2~4週間かかりますが、抗ヘルペス薬を服用すると、症状の治まるまでの期間が明らかに短縮します。
HSVは感染すると神経節に潜伏します。初感染時に抗ヘルペス薬で徹底的に治療して、潜伏するHSVゲノム(遺伝子)数を減らすことが、将来の再発頻度を減らすことにつながります。

 

① 初発例の治療
1) バラシクロビル錠(バルトレックス®500㎎)1回1錠1日2回を5~10日間。
2) ファムシクロビル錠(ファムビル®250㎎)1回1錠1日3回を5~10日間。
3) アシクロビル錠(ゾビラックス®200㎎)1回1錠1日5回を5~10日間。
※アシクロビルの経口吸収率は20%で、バラシクロビルの80%に比べて低く、そのため1日の服用回数が増えてしまいます。服用回数の少ないバラシクロビルによる治療が第一選択です。ちなみに、この3つの薬剤は1日の服用回数が異なるだけで、治療効果は同程度です。
私の場合、将来の再発頻度に影響する初感染初発の治療は、バラシクロビルを1日2回10日間でガッツリと治療するようにしています。また、痛みの強い患者さんには、鎮痛剤も併用します。

 

② 初発時の高熱による衰弱、歩行困難、排尿困難などの重症の場合
・注射用アシクロビル5㎎/kg/回を1日3回、8時間ごとに1時間かけて7~10日間点滴します。ひどい時は入院が必要です。

 

③ 再発例の治療①の薬剤のいずれかを5日間服用。
※再発例は発症してから24時間以内に服用を開始しないと効果が得られません。また、局所の違和感や神経痛様の痛みなどの「前駆症状」のときに服用することで、病変の出現を予防できることもあり、あらかじめ薬を携帯しておき、早めに服用することをお勧めします。
※抗ヘルペス薬の軟膏は、皮膚の表面にいるウィルスにしか働かず、ウィルスの活動を完全に抑制することはできないので、症状の出る期間を短縮する効果は無いと言われています。

 

6. 予防方法は?

どの性感染症についても言えることですが、セックスパートナーの数が多いほど、感染機会が多くなります。また、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリアー機能が低下していたり、外陰部に皮膚炎があると感染しやすいです。HSV抗体を保有していない女性が、性器ヘルペス陽性の男性との性行為によって感染する割合は、約30%と言われています。
再発の場合、肛門、臀部、大腿部にも病変を生じるので、コンドームの使用だけでは完全に予防できないのが現状です。

 

7.再発を抑える方法は?

ヘルペスウィルスは、一度感染すると完全に除去することができないので、再発を繰り返す場合があるとお話ししてきました。再発を繰り返す患者さんは、再発の苦痛や家族に感染させてしまうのではないかという不安をお持ちの方が多いです。
しかし、積極的なお薬の服用により再発を抑えることは可能です!
この治療によって、再発症状による苦痛の軽減や、他人への感染予防ができるので、QOLを改善することができます。

 

★待機的再発抑制療法
<健康保険の適応となる患者さん>
再発頻度が1年に3回以上で、再発の初期症状(ピリピリ・ムズムズなどの前駆症状)を正確に判断できる方。
<治療方法>
ファムシクロビル(ファムビル®)を初期症状発現後すぐ(6時間以内)に4錠服用(1回目)し、1回目の服用から12時間後に4錠服用(2回目)で完結します。この治療の特徴は、再発の早い段階のときに患者さんの自己判断で2回内服するだけで治療できる点です。この治療により、病変部位が治癒するまでの期間、ウィルスが消失するまでの期間、完全痂疲化までの期間が早まります。
服用を終えたら、次回の再発時用に処方をしてもらいます。次の再発の前兆を感じたらすぐに服用できるように、いつも携帯しておくと安心です。

 

治療薬 2020,3,13

(マルホホームページより一部抜粋:https://www.maruho.co.jp/medical/famvir/products/1day/basic.html)

 

★再発抑制療法

<健康保険の適応となる患者さん>

再発頻度が年6回以上の方。

<治療方法>

バラシクロビル(バルトレックス®500mg 11錠ずつを毎日1年間服用する方法です。1年間服用した後、休薬します。

休薬期間中に再発が起こるかどうかによって、再発抑制療法の再開について検討します。

 

この再発抑制療法により、6070%の患者さんでは再発リスクを抑制でき、40%の患者さんは1年間に一度も再発しなかったという報告があります。しかし、もともと年10回以上再発があった方は、抑制療法中でも再発することがありますが、症状は軽度で済みます。

 

その場合は、バラシクロビルを125日間まで一時的に増量します。

 

また、抗ヘルペス薬の長期間服用による副作用や耐性化はほとんど無いので、安全に服用できます。

治療薬② 2020,3,13

(バラシクロビル錠)

※健康保険を適応させることで経済的負担は軽減できますが、すでに再発が毎月起きているような状況で、一刻も早く再発抑制療法を受けたい!と思われている患者さんも治療することは可能です(自費診療)。

 

 

7. 妊娠中の性器ヘルペスについて
特に、出産時期近くに初めて性器ヘルペスになった場合は、赤ちゃんにヘルペスを感染させてしまうリスクが高くなります。また、妊娠すると免疫系が低下するため再発しやすくなります。出産時に母親の外陰部や産道にヘルペス病変があると、産道を通るときに赤ちゃんにヘルペスウィルスが感染して重症の新生児ヘルペス脳炎を発症する場合があり、重篤な後遺症や命を落とすことさえあります。したがって、性器ヘルペスの感染歴のある方は、出産する病院に「過去に性器ヘルペスになったことがある」ということを申告する必要があります。
でも、ご安心ください、赤ちゃんに感染させないように妊娠中に予防できる方法があります。

妊婦 2020,3,13

 

妊娠初期に感染したら、局所の安静を保つために性交を禁止し、バラシクロビルを服用し病変部位へのアシクロビル軟膏塗布を行います。デンマークの疫学研究で、抗ヘルペスウィルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル)を妊娠初期の女性が服用しても、児の先天異常などのリスクは上昇しないことが報告されており、抗ヘルペスウィルス薬は妊娠中でも安全に服用できるお薬です。

しかし、

    1. 分娩前1カ月以内に初感染の性器ヘルペスの発症があったとき
    2. 再発の場合は、1週間以内に分娩になる可能性が高いとき

は帝王切開による出産になります。

アメリカの疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインでは、性器ヘルペスの既往のある場合には、帝王切開の頻度を減少させるために妊娠36週目から再発抑制療法を開始することを推奨しています。

 

また、パートナーに性器ヘルペスの既往があり、妊婦であるご自身にヘルペスの既往が無い場合は、妊娠後期に口腔、腟、肛門での性行為を避ける必要があります。また、妊娠中はコンドームを使用することをお勧めします。

 

 

ヘルペスウィルスは一度かかると、現代の医療では完全に排除できないウィルスです。

免疫が低下すると身体に残ったウィルスが増殖して再発します。

性器ヘルペスの治療のポイントは、初発時は早めにガッツリ治療して、再発時は前兆を感じたら早めに抗ヘルペス薬を服用することです。

また、抗ヘルペス薬を毎日服用する再発抑制療法はとても効果的です。

性器ヘルペスの治療は、症状が出るまで待つのではなく、積極的に治療することで、再発を抑えられ、日常生活をより快適に過ごせるように変えられます。
性器周辺に異常を感じたら早めに病院を受診し、医師に相談しましょう。

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