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2020.03.27

特集

新型肺炎:コロナウイルス感染症

2019年末に中国の湖北省武漢市(こほくしょうぶかんし)で「原因不明のウイルス性肺炎」の発生が報告されて以降、2020年3月31日時点までに世界160カ国以上に感染が広がり、70万人を超える感染者、3万人を超える死者が報告されている。

 

 

日本では2月3日に横浜港に到着したクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス号」の712人の感染者(死者10人)と国内の感染者1923人(死者59人)の感染者が報告されており、社会的、経済的に大きな問題となっている。

 

2月1日に新型コロナウイルス感染症は、感染症法に基づく「指定感染症」と検疫法の「検疫感染症」に指定された。その後、韓国、イラン、イタリア、フランス、スペインで感染患者が急増し3月11日に世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は新型コロナウイルスを「パンデミック(世界的な大流行)」と表明した。アメリカやスペイン、それにイタリアなど少なくとも15の国と地域で非常事態や緊急事態が宣言され、入国制限がされている。

 

 

コロナウイルスはどんなウイルスか。
ウイルス粒子の大きさは直径約100nm(10億分の1メートル)の球形で、脂質二重膜(エンベロープ)におおわれた表面にはSpike(S)蛋白、Envelope(E)蛋白、Membrane(M)は突起が見られる。形態が王冠“crown”に似ていることからギリシャ語で王冠を意味する“corona”という名前が付けられた。ウイルス遺伝子はプラス鎖の一本鎖RNAでRNAウイルスの中では最大サイズの30kbである。

【コラム】 コロナ① 2020,3,27
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html国立感染症研究所より引用
コロナウイルスは自然界ではブタ、ウシ等の家畜、鳥類(家禽(かきん)等)やコウモリ等の動物に広く分布する。

 

ヒトに日常的に感染するコロナウイルス(Human Coronavirus:HCoV)は、これまでに7種類知られており、うち4種(HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1)は、風邪の10~15%(流行期35%)の原因ウイルスである。流行のピークは冬季に見られ、ほとんどの子供は6歳までに感染を経験する。多くの感染者は軽症だが、高熱を引き起こすこともある。

 

これらヒトコロナウイルス発見は比較的新しく、HCoV-229E、HCoV-OC43が最初に発見されたのは1960年代であり、HCoV-NL63とHCoV-HKU1は2000年代に入って新たに発見された。

 

これまでの遺伝子解析の結果から、ヒトコロナウイルスはコウモリ等動物由来(人獣共通感染症)が示唆されている。 その後、2002年にSARS-CoVコロナウイルス(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)、2012年には(MERS-CoV:中東呼吸器症候群コロナウイルス)による重症肺炎が報告され、昨年12月に武漢で新型コロナウイルス肺炎発生し、現在、世界的な大流行となっている。

 

WHOは2月11日に新型コロナウイルス感染症の正式名称を「COVID-19」とすると発表した。COVID-19(「CO」は「coronaコロナ」、「VI」は「virusウイルス」、「D」は「diseaseデジーズ:疾患」、「-19」は「2019年に発生」)、2019年に発生したコロナウイルス感染症の意味。一方、国際ウイルス分類委員会はウイルス名をsevere acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2)  7番目のヒトコロナウイルスに命名した。現在は遺伝学的特徴から、コロナウイルスはα、β、γ、δのグループに分類される。

コロナ ①

風邪(かぜ)を引き起こすヒトコロナウイルスHCoV-229E とHCoV-NL63はαコロナウイルス、SARS-CoV-2、MERS-CoV、SARS-CoV、HCoV-OC43、HCoV-HKU1はβコロナウイルスに分類されている。

 

 

症状と診断
COVID-19は比較的軽い呼吸器症状あるいは不顕性感染(症状が現れない)である。しかし、基礎疾患のある患者や高齢者では重症例が報告されており、死亡率は全世界で3.5%となっている。また、症状がない不顕性感染者はウイルスを排泄するため、気が付かない間に感染拡大を引き起こすことが危惧されており、感染封じ込めが困難となっている。

 

 

診断法はインフルエンザイムノクロマト法のような簡易迅速診断法が開発中だが、検出感度等の問題から、現時点ではウイルス遺伝子を増幅し検出するPCR (polymerase chain reaction)が用いられている。コロナウイルスはウイルス遺伝子がRNAのため、検出にはまず逆転写(RT)によってRNAをcDNAに変換し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってcDNAを増幅するRT-PCR (Reverse transcription polymerase chain reaction)が用いられる。検査は、国立感染症研究所(NIID)が中心となって都道府県の衛生研究所が検査を実施している。検査受託可能数が限られていたが、最近になって大手民間検査センターがNIIDから依頼を受け検査を開始した。

 

 

コロナウイルス感染の治療
コロナウイルスに特異的な治療薬は未だない。新型コロナウイルス感染症への治療効果が期待されているのが富士フイルム富山化学の「アビガン」、Gilead Sciences Incの「レムデシビル」、HIVのプロテアーゼ阻害薬の有効性が示唆されている。ワクチン開発を含め、今後の開発に期待したい。

 

 

予防法

コロナウイルスのヒト-ヒト感染の主な経路は、飛沫感染および接触感染である。コロナウイルスはウイルス粒子表面が脂質二重膜で被われており、石鹸による手洗い、アルコール消毒等が感染防止に有効と思われる。厚生労働省のホームページ「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」に以下の予防法が紹介されている。
① 一般的な感染症対策や健康管理を心がける
② 石けんによる手洗いや手指消毒用アルコールによる消毒などを行う
③ できる限り混雑した場所を避ける
④ 十分な睡眠をとる
⑤ 屋内でお互いの距離が十分に確保できない状況で一定時間を過ごすときはご注意する

 

 

さらに政府新型コロナウイルス感染症対策専門家会議から、クラスター(集団)感染予防のためにとるべき行動として下記の見解が示されている。

これまで集団感染が確認されたケースに共通するのは、次の3つの条件が同時に重なった場合です。

・換気の悪い密閉空間

・多くの人が密集

・近距離での会話や発声(密接場面)

日常生活の中で、この3つの条件が同時にそろう場所や場面を避ける以下の行動をとってください。

1.換気を行う(可能であれば2つの方向の窓を同時に開ける)

2.人の密度を下げる(互いの距離を1、2m程度空ける)

3.近距離での会話や発声などを避ける(やむを得ない場合はマスクを付ける)

 

①厚労省ポス 

 

【コラム】石古さん紹介

 

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