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2024.04.15

特集

肝炎と性感染症について

B型肝炎、C型肝炎は他の伝播様式もありますが、性行為でも伝播します。

したがって性感染症のカテゴリーにも入ります。性感染症としての側面についてまとめました。

 

*この記事は、世界で最も信頼性のあるメタアナリシス(様々な研究・文献を統合して判断すること)エビデンスの1つであるUpToDate(https://www.uptodate.com)をエビデンスとして記載しております。

↓UpToDateについてはこちらをチェック!↓
https://yoboukai.co.jp/article/2467

 

 

B型肝炎について

 

B型肝炎HBVというウイルスによって引き起こされる肝炎です。

急性期と慢性期で臨床症状が分けられます。

急性期には、不顕性肝炎(無症状)から、肝炎(黄疸、倦怠感など)、場合によっては劇症肝炎(意識障害を伴う肝炎)まで、慢性期には、無症候性キャリア状態から慢性肝炎、肝硬変および肝細胞癌まで、様々な症状が現れます。

感染様式は以下となります。

母子感染
HBV感染母親から妊娠、分娩を通して、子供へ感染します。
ほとんど分娩時に起こります。

輸血
HBV感染者の血液が、輸血されることで感染します。
現在の輸血システムにおいては、ほとんど起こらなくなっています。

性行為
HBV感染者との性行為により感染します。
一例として、アメリカにおける急性HBV感染症2220例を評価した報告では、約35%の症例で性行為がHBV感染に寄与していたとされています(1)。
男性との性交渉を持つワクチン未接種の男性は、特にリスクが高いです。

経皮感染
HBV感染者と注射針などを共有することによって感染します。
アメリカでは近年、薬物使用がHBV感染の主な危険因子であると報告されています(2)。

検査は血液検査ですが、少し複雑となります。

まず、HBs抗原と呼ばれるものが、HBVへの曝露(ウイルスにさらされること)から1~10週間後、出現します。

通常4~6ヵ月後に寛解(症状が軽くなったり、消えたりした状態になること)し、HBs抗体と呼ばれるものが出現します。
そこで寛解しなかった場合、慢性感染へ移行します。従って、基本的にはHBs抗原を測定することによって、HBV感染を判定します。

他、HBe抗原やHBc抗体、HBV DNAを測定して判定することもあります。

 

 

C型肝炎について

 

C型肝炎HCVというウイルスによって引き起こされる肝炎です。急性期と慢性期で臨床症状が分けられます。急性期には、ほとんどが不顕性肝炎(無症状)となります。症状が出る場合は、肝炎(黄疸、倦怠感など)を来し、慢性期には、無症候性キャリア状態から慢性肝炎、肝硬変を来します。

感染様式は以下のとおりでB型肝炎との共通項がありますが、B型肝炎より感染力は落ちます。

母子感染
HCV感染母親から妊娠、分娩を通して、子供へ感染します。
その確率は約5~6%程度とされています(3)。

輸血
HCV感染者の血液が、輸血されることで感染します。
現在の輸血システムにおいては、ほとんど起こらなくなっています。

性行為
HCV感染者との性行為により感染します。
一方、この感染リスクはかなり低くなっています。
一例として、パートナーを持つHCV感染患者500人における15年の追跡調査で、パートナーへの年間推定感染率は0.07%であったと報告されています(4)。
男性との性交渉を持つ男性においては、肛門性交による粘膜損傷や血液曝露に伴い、感染リスクが高くなります。

経皮感染
HCV感染者と注射針などを共有することによって感染します。
現在は、ほとんどがこの様式、主に注射薬物使用による感染となっています(5)。

検査は血液検査となりますが、少し複雑となります。

感染してから4週間後程度で、HCV RNAが上昇します。その後、寛解すれば感染から2カ月程度でHCV抗体が陽性となります。

また、HCV抗体陽性でもHCV RNAが陽性であれば、寛解には至っていません。
従って、基本的にはHCV RNAとHCV抗体を測定しますが、スクリーニングではHCV抗体の検査で行うこともあります。

 

 

ワクチンによる予防

 

B型肝炎は、性感染症の中でも数少ない、ワクチンによる予防が可能な項目です。
このB型肝炎ワクチンは、予防会クリニックでも接種が可能です。気になった方は、是非クリニックをご利用ください。

 

また、予防会新宿サテライトクリニック院長 北岡は、性感染症の予防薬の開発を行っており、本プロジェクトは東京都主催のコンテストで優秀賞を受賞しました。

TOKYO STARTUP GATEWAY2023で優秀賞を受賞しました!

新たな性感染症予防薬を開発するプロジェクトについて、X(旧Twitter)でも発信しておりますので、こちらも是非チェックしてください!
https://twitter.com/kazukimizukiros

 

UpToDate: Epidemiology, transmission, and prevention of hepatitis B virus infection

UpToDate: Hepatitis B virus: Screening and diagnosis in adults

UpToDate: Hepatitis B virus: Clinical manifestations and natural history

UpToDate: Epidemiology and transmission of hepatitis C virus infection

UpToDate: Clinical manifestations, diagnosis, and treatment of acute hepatitis C virus infection in adults

UpToDate: Hepatitis B virus: Clinical manifestations and natural historyを基にしています

1) Iqbal K, Klevens RM, Kainer MA, et al. Epidemiology of Acute Hepatitis B in the United States From Population-Based Surveillance, 2006-2011. Clin Infect Dis 2015; 61:584.

2) Harris AM, Iqbal K, Schillie S, et al. Increases in Acute Hepatitis B Virus Infections – Kentucky, Tennessee, and West Virginia, 2006-2013. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2016; 65:47.

3) Benova L, Mohamoud YA, Calvert C, Abu-Raddad LJ. Vertical transmission of hepatitis C virus: systematic review and meta-analysis. Clin Infect Dis 2014; 59:765.

4) Terrault NA, Dodge JL, Murphy EL, et al. Sexual transmission of hepatitis C virus among monogamous heterosexual couples: the HCV partners study. Hepatology 2013; 57:881.

5) Centers for Disease Control and Prevention. Hepatitis C Surveillance 2020.

 

記事の執筆

著者情報 新宿サテライトクリニック 院長 北岡 一樹(きたおか かずき)

予防会 新宿サテライトクリニック 院長
株式会社KMPhage代表取締役

早稲田大学研究員(MD/PhD)

北岡 一樹(きたおか かずき)

三重大学医学部卒。初期研修修了後、内科勤務しつつ名古屋大学大学院医学系研究科細菌学博士課程修了。その後、薬剤耐性菌の研究のため、早稲田大学で研究開始。同時に医療法人社団予防会新宿サテライトクリニックで診療開始し、現在は院長を務めながら新たな性感染症予防薬創出のため「バクテリオファージ」の研究を進めている。本研究では東京都主催のコンテストで優秀賞を獲得、社会実装に向けバイオベンチャー「株式会社KMPhage」を起業。国内では数少ないカンジダ・細菌性膣症の予防の研究も行っており、臨床においても研究知見も含め「性器感染症予防」を専門として、世界的エビデンスUpToDateに基づいたデリケートゾーン専門外来も行っている。

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