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2021.10.18

カンジダ

細菌性膣症

【おりもの異常はこれが原因?】細菌性膣症を解説【約半数で再発】

おりものに異常を感じた場合、最も可能性が高いのは、実はおりもの異常の原因の半分を占める細菌性膣症です。
しかも正しい診断検査がされないことが多く、約半数で再発があり、根治が困難です。

予防会では、この状況を打破するために新たな治療法の開発まで行っています。
これらについて説明していきます。

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細菌性膣症について


実は、膣の中は腸と同じように、様々な細菌が生息しています。
通常、膣内は乳酸菌という善玉細菌が多い状態となっており、この場合では何も問題がありません。

しかし、膣内の乳酸菌が減少し、特にガードネレラ・バギナリスという細菌が増加すると、様々な臨床症状を引き起こすこととなり、細菌性膣症と呼ばれる状況になります。

なんと、18-45歳の女性において、20-30%が細菌性膣症に罹患していると報告されています(1)。

さらに、おりもの異常を来す疾患のなかで一番多い原因で、約半数を占めるのが細菌性膣症であり(2)、実は女性にとって最も身近な性器の感染症です。

 

細菌性膣症の症状

細菌性膣症を発症している人の約半数は無症状です(3)。

約半数では、外陰膣カンジダ症のように強い外陰膣部の症状を引き起こし、オフホワイト色のおりもの、生臭い匂いを呈します。

一般的には膣のかゆみや発赤には関与しないと言われていて、これらがあるときはカンジダも混合感染している可能性があります。

また、厄介なのは、細菌性膣症が、単純ヘルペス、淋菌、クラミジア、トリコモナス感染のリスク因子となることです。

細菌性膣症を発症していると、これらの性感染症にかかりやすくなってしまいます。

さらに、妊婦さんで細菌性膣症を発症していると、絨毛膜羊膜炎、低出生体重児、産褥子宮内膜炎といった出産時のトラブルを引き起こしやすくなります。

診断には本来、顕微鏡検査によって確定診断を行わないといけません。

しかし、多くの病院では、手間がかかることから臨床症状だけで診断・治療が行われているのが実情です。

ある大学病院において、臨床症状のみで診断が行われていて、顕微鏡検査による確定診断で見直してみると、30%の患者が細菌性膣症を見過ごされ、23%の患者が細菌性膣症ではなかったという報告があります(4)。

最も多い性器感染症であり、陰部の不快感だけでなく、様々な疾患のリスク要因となる細菌性膣症こそ正しく診断・治療する必要があります。

おりものに異常を感じた場合、最も可能性が高いのは、おりもの異常の原因の半分を占める細菌性膣症であることから、細菌性膣症を正しく診断できる医療機関での受診をオススメします。

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細菌性膣症の治療

細菌性膣症の症状を緩和したい場合には、薬物治療が必要です。

薬物治療にはメトロニダゾール、クリンダマイシン、それぞれに内服、膣錠がありますが、それぞれ1週間程度の治療で高い治癒効果を同等に認めます(5)。
したがって、患者さんの好みで選択するのが良いと思われます。
内服の場合は用量が多くなるため、膣錠の方が良いかもしれません。

症状がない場合の治療については議論があります。

無症状の場合は数カ月かけて自然治癒していくことが多く、また薬物治療の副作用として外陰膣カンジダ症を発症してしまうことがあります。
このため治療を推奨しないという立場がある一方、他の性感染症感染リスクを下げるために治療を推奨する立場もあります。

妊娠している場合は、無症状の場合でも出産のトラブルを考えると治療が望ましいとも思われますが、実は、明確なエビデンスがなく、推奨とはなっていません。

また、細菌性膣症の一番厄介なことは再発が非常に多いことです。

1回の治療で十分に治癒はしますが、1年以内に約半数の人が再発します(6)。

原因としては、主要な原因菌であるガードネレラ・バギナリスがバイオフィルムというものを形成しているため、現状の薬物治療では根治出来ないためと言われています(7)。

一応、再発抑制療法と呼ばれる、週2回膣錠を継続する方法がありますが、継続し続ける必要があり、不便さのある治療です。

 

予防会の取り組み(ファージセラピー)

現状の再発防止が困難な細菌性膣症に対して、予防会として新たな治療を開発しようとしています。

近年、感染症治療として主役だった抗菌薬と呼ばれる薬物が耐性菌により限界を迎えており、バクテリオファージという、細菌を殺菌できる生物による治療(ファージセラピー)が注目を浴びています。

国外では臨床応用もされたりしていますが、新しいものに慎重な日本の姿勢が影響しているのか、国内では全く臨床応用されていません。

バクテリオファージはバイオフィルムを根絶できるため(8)、細菌性膣症を根治出来る可能性があり、細菌性膣症患者さんにバクテリオファージを膣内投与する治療の実現を目指しています。

バクテリオファージは副作用を引き起こさないことは証明されていますが(9)、膣内投与は、血中投与や内服に比べると、より安全であることから、国内初のファージセラピーが予防会から可能になるかもしれません。

 

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まとめ

 

細菌性膣症は最も多い性器感染症であり、診断には顕微鏡検査が必要だが、ほとんど行われていない

→顕微鏡検査で細菌性膣症を診断している医療機関での検査をオススメ

 

1) Peebles K, Velloza J, Balkus JE, McClelland RS, Barnabas RV. High Global Burden and Costs of Bacterial Vaginosis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sex Transm Dis. 2019 May;46(5):304-311.

2) Morris M, Nicoll A, Simms I, Wilson J, Catchpole M. Bacterial vaginosis: a public health review. BJOG. 2001 May;108(5):439-50.

3) Klebanoff MA, Schwebke JR, Zhang J, Nansel TR, Yu KF, Andrews WW. Vulvovaginal symptoms in women with bacterial vaginosis. Obstet Gynecol. 2004 Aug;104(2):267-72.

4) Hillier SL, Austin M, Macio I, Meyn LA, Badway D, Beigi R. Diagnosis and Treatment of Vaginal Discharge Syndromes in Community Practice Settings. Clin Infect Dis. 2021 May 4;72(9):1538-1543.

5) METROGEL – metronidazole gel. US Food and Drug Administration (FDA) approved product information. Revised March 2011. US National Library of Medicine. Available at: https://dailymed.nlm.nih.gov/dailymed/index.cfm (Accessed on June 28, 2021).

6) Bradshaw CS, Morton AN, Hocking J, Garland SM, Morris MB, Moss LM, Horvath LB, Kuzevska I, Fairley CK. High recurrence rates of bacterial vaginosis over the course of 12 months after oral metronidazole therapy and factors associated with recurrence. J Infect Dis. 2006 Jun 1;193(11):1478-86.

7) Swidsinski A, Mendling W, Loening-Baucke V, Swidsinski S, Dörffel Y, Scholze J, Lochs H, Verstraelen H. An adherent Gardnerella vaginalis biofilm persists on the vaginal epithelium after standard therapy with oral metronidazole. Am J Obstet Gynecol. 2008 Jan;198(1):97.e1-6.

8) Kelly D, McAuliffe O, Ross RP, Coffey A. Prevention of Staphylococcus aureus biofilm formation and reduction in established biofilm density using a combination of phage K and modified derivatives. Lett Appl Microbiol. 2012 Apr;54(4):286-91.

9) Caflisch KM, Suh GA, Patel R. Biological challenges of phage therapy and proposed solutions: a literature review. Expert Rev Anti Infect Ther. 2019 Dec;17(12):1011-1041.

記事の執筆

著者情報 新宿サテライトクリニック 院長 北岡 一樹(きたおか かずき)

予防会 新宿サテライトクリニック 院長
株式会社KMPhage代表取締役

早稲田大学研究員(MD/PhD)

北岡 一樹(きたおか かずき)

三重大学医学部卒。初期研修修了後、内科勤務しつつ名古屋大学大学院医学系研究科細菌学博士課程修了。その後、薬剤耐性菌の研究のため、早稲田大学で研究開始。同時に医療法人社団予防会新宿サテライトクリニックで診療開始し、現在は院長を務めながら新たな性感染症予防薬創出のため「バクテリオファージ」の研究を進めている。本研究では東京都主催のコンテストで優秀賞を獲得、社会実装に向けバイオベンチャー「株式会社KMPhage」を起業。国内では数少ないカンジダ・細菌性膣症の予防の研究も行っており、臨床においても研究知見も含め「性器感染症予防」を専門として、世界的エビデンスUpToDateに基づいたデリケートゾーン専門外来も行っている。
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