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2021.02.15

特集

ある美容施術のお陰で減っている?性感染症:ケジラミ症

はじめに
1990年代頃、友人が「股間の毛が生えている辺りがものすごく痒くて、夜眠れない!」と言うので、一緒に病院へ行き、下された診断が「ケジラミ症」で、その当時学生だった私と友人は、この事実に驚愕したことを憶えています。

どのくらい痒いかというと、陰毛を引っ張って全部引きちぎってしまいたいほど痒いということでした。

しかし、近年、少なくとも私が医師になってからは、このような症状を訴える患者さんが診察に訪れることは無く、もしかしたら、昨今の脱毛事情による予防効果なのでは?と感じています。

1.ケジラミとは?

その名も「ケジラミ」という吸血性昆虫です。昆虫なので、足が6本あります。このケジラミは、ヒトにしか寄生しません。吸血は1日に数回行われ、吸血した血液を栄養源として成長し、脱皮をくり返して成虫となり、交尾後メスは産卵します。卵は、毛の基部近くに産みつけられ、セメント様物質で毛に固定されます。卵は、7日前後で幼虫が孵化し、2週間くらいで成虫になります。成虫は、3~4週間生存し、その間30個~40個の卵を産みます。

毛じらみ①

図2. ケジラミの成虫と卵

 

2.症状は?

寄生部位の搔痒で、皮疹を生じないのが特徴です。
主な寄生部位は、陰毛のある陰股部、肛門周囲、腋毛、胸毛、大腿部の短毛、ひげ、まゆ毛、まつ毛、頭髪など、毛の生えているところ全てです。

搔痒を自覚するのは、感染後1~2か月後と言われています。

搔痒の発症機序は、シラミが吸血するときに出す唾液に対するアレルギー反応の可能性があります。

 

3.感染経路は? 

性交による陰毛の直接接触による感染経路がほとんどです。しかし、接触の密な母子間の感染も多く、家族内感染も報告されています。毛布などの寝具を介する間接的な感染経路もありますが、ケジラミはヒトから離れると、48時間しか生存できず、1日に10cm程度しか歩行できないので、間接的な感染よりも性行為を介する感染経路の方が主です。

 

4.診断方法は?

 痒みのある場所を、虫メガネ(拡大鏡)やダーモスコープで見ながら、陰毛基部に付着する褐色調の白色物質を攝子でつまむと脚を動かす虫体が確認できます。あるいは、陰毛に産み付けられた卵を鏡検して診断します。

 

5.治療方法は?

①剃毛:ケジラミは毛につかまって寄生し、毛に卵を産みつけるので、その毛自体が無くなれば、ケジラミが寄生できなくなります。さらに、自分で毛を剃ることができれば、費用もかかりません。しかし、不完全な剃毛によって、ケジラミが剃り残った周辺の毛や、ふとももの毛に移動する場合もあり、完全全剃毛ができなければ、確実に除去することは難しいかもしれません。

 しかし、これはあくまでも個人的な予想ですが、VIO脱毛によって、ケジラミが寄生する毛が無くなるので、予防になっている可能性はあります。ケジラミ症は、市販のお薬で治療できるので、脱毛の流行がケジラミ症の減少に関与しているかどうかを調べることは難しくなっています。

 

②薬剤:0.4%フェノトリンパウダー(スミスリン®パウダー)、0.4%フェノトリンシャンプー(スミスリン®L)が市販薬で入手可能です。治療方法は、フェノトリンパウダーを寄生部位に散布し、1~2時間後に洗い落とす、フェノトリンシャンプーの場合は3~5mlを陰毛に用い、5分後に洗い落す方法です。ただし、卵には効果が弱いので、3~4日ごとに、3~4回繰り返す必要がありますので、完全に駆除するには2か月くらいかかります。

毛じらみ② 薬

図2:市販のスミスリン®シャンプー
(金鳥製薬ホームページ:
https://www.kincho.co.jp/seihin/insecticide/shirami/sumithrin_premium/index.html)

 

6.治療上の注意

ピンポン感染をくり返すことがあるので、セックスパートナーの治療も行う必要があります。また、親子感染もあるので、家族単位で一斉に治療します。

ヒトから離れた虫体は、一定期間生存している可能性があるので、衣服にアイロンをかけるなどで熱処理するか、あるいはドライクリーニングを行います。

 


7.治癒判定は?

 陰毛についている卵が抜け殻になっていて、虫体が見つからなければ治癒と判断します。しかし、卵の中身が入っているのか入っていないのかを判断することは難しいので、誤診することもあります。

 

8.パートナーについて

 かゆみが発症するのは、感染後1~2ヶ月のことが多いので、症状の出る前の1~2か月の間に、性交渉のあった相手のケジラミの寄生について調べる必要があります。また、家族内感染を起こすので、家族全員を調べる必要もあります。

 

 このように、近年、ケジラミ症はあまり見かけなくなってきたものの、陰部(特に毛の生えているところ)の痒みがあるときは、自分では確認しづらい部位でもあり、専門的な診察によって判断する必要があるため、受診していただくことをおススメします。

 

【関連病気】

 

毛じらみ 詳細説明を確認する

※症状がある方はクリニックでの受診をおすすめします。

 

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