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2021.12.15

HIV / AIDS

早期発見・治療が非常に重要なHIV/AIDS

性感染症のなかで、昔と比べて最も治療が進歩したのがHIV/AIDSであり、致死性の病気ではなくなりました。しかし、治療の恩恵を十分に受けるには早期発見が重要です。早期発見・治療の重要性などについて説明していきます。

HIV/AIDSについて

HIVは、「ヒト免疫不全ウイルス」というウイルスのことを指します。HIVは、まず間質性樹状細胞と呼ばれる白血球に感染することで、ヒトの体内に侵入します。間質性樹状細胞は粘膜に豊富に存在し、粘膜が露出しているのは性器であるため、性器が直接接触することで感染します(1)。その後CD4+T細胞という白血球に感染し、どんどんその細胞の数を減らしていきます。CD4+T細胞は免疫において非常に重要な白血球であり、数が減っていくことで免疫が機能しなくなります。その結果として、通常は感染しないような病気にかかるようになってしまい、その状態を「後天性免疫不全症候群」、AIDSと呼びます。

HIV2

 

HIV/AIDSの症状

HIV感染者のなかで、40-90%で急性レトロウイルス症候群を呈します。しかし、残りは無症状のまま、免疫低下が進行していきます。急性レトロウイルス症候群が出現する場合、HIV感染から症状出現まで2~4週間であることが多いですが、10カ月に及ぶこともあります(2)。急性レトロウイルス症候群は、発熱、リンパ節腫脹、咽頭痛、発疹、筋肉痛・関節痛、下痢、体重減少、頭痛などであり、通常の風邪と見分けがつきにくいですが、特徴的な症状として痛みを伴う粘膜皮膚潰瘍を呈することがあります。痛みを伴う粘膜皮膚潰瘍症状と風邪症状がみられる場合は、急性レトロウイルス症候群を疑う必要があります(3)。

 

AIDSへと進行すると、口腔・食道カンジダ症により口の中が白く痛くなったり、クリプトスポリジウムという原虫による激しく治りにくい下痢などが引き起こります。他にも免疫機能が低下することにより発症する病気が「AIDS指標疾患」として挙げられており、それらの病気の症状を呈するようになります。

HIV4

 

HIV/AIDSの検査

HIV感染の検査としては、まずは感度の高い、ELISAと呼ばれる方法を用いたHIVスクリーニング検査を行います。かつてのHIVスクリーニング検査はHIV感染後に陽性と判定するまで2カ月程度かかっていましたが、改良が進められ、現在、第4世代と呼ばれる検査法では、HIV感染から1か月以内に陽性と判定できるようになりました。この方法は感度(感染者を正しく陽性と判断できる割合)が高い一方、偽陽性(感染していないのに陽性と判定してしまう)も多くなります。HIVスクリーニング検査で陽性でとても落ち込んで来院される方もいますが、偽陽性であることも多いので、気にしすぎず、確定検査へ進んでください。

 

確定検査は、確認試験HIV抗体検査(ウエスタンブロット法)やHIVウイルス核酸増幅検査(RT-PCR法)などで行われます。また、HIVウイルス核酸増幅検査(RT-PCR法)の方がHIVスクリーニング検査より先に陽性となることから、感染機会があり、急性レトロウイルス症候群を呈している場合は、HIVウイルス核酸増幅検査(RT-PCR法)をHIVスクリーニング検査と同時に行うことも検討されます。HIVと他の性感染症が同時に感染することも多く、特に梅毒は同時感染が多いです。そのため、梅毒患者さんにおいては、HIV感染の検査を行うことが推奨されます。

 

HIV/AIDSの治療

かつてHIV感染はAIDSへと至り、死に至る病でした。しかし、抗レトロウイルス治療の出現、進歩により、HIV感染患者の生存率は健常人と大差がないようになりました。

 

治療効果を上げるためには、HIV感染後、出来るだけ早期に治療を開始することが非常に重要です。ある報告では、HIV感染から4カ月以内に治療を開始した群が、それ以降に開始した群に比べて、CD4+細胞数を正常レベルで維持していた割合が多かったと示されています(4)。そのほかにも12カ月以内に治療を開始することで、97%でHIVウイルスの検出不能を達成したという報告もあります(5)。早期に治療を開始することで、HIVウイルス減少・CD4+細胞の維持による、免疫機能の維持・AIDS発症抑制を達成できます。HIV感染の段階では症状がないことも多いことから、定期的な検査を行い、早期発見を心がけることが望まれます。

 

まとめ

HIV感染は症状がないことも多く、早期発見・治療が何よりも大事→定期的な検査をオススメ

 

 

1) Kahn JO, Walker BD. Acute human immunodeficiency virus type 1 infection. N Engl J Med. 1998 Jul 2;339(1):33-9.
2) Ridzon R, Gallagher K, Ciesielski C, Ginsberg MB, Robertson BJ, Luo CC, DeMaria A Jr. Simultaneous transmission of human immunodeficiency virus and hepatitis C virus from a needle-stick injury. N Engl J Med. 1997 Mar 27;336(13):919-22.
3) Gaines H, von Sydow M, Pehrson PO, Lundbegh P. Clinical picture of primary HIV infection presenting as a glandular-fever-like illness. BMJ. 1988 Nov 26;297(6660):1363-8.
4) Le T, Wright EJ, Smith DM, He W, Catano G, Okulicz JF, Young JA, Clark RA, Richman DD, Little SJ, Ahuja SK. Enhanced CD4+ T-cell recovery with earlier HIV-1 antiretroviral therapy. N Engl J Med. 2013 Jan 17;368(3):218-30.
5) Kassutto S, Maghsoudi K, Johnston MN, Robbins GK, Burgett NC, Sax PE, Cohen D, Pae E, Davis B, Zachary K, Basgoz N, D’agata EM, DeGruttola V, Walker BD, Rosenberg ES. Longitudinal analysis of clinical markers following antiretroviral therapy initiated during acute or early HIV type 1 infection. Clin Infect Dis. 2006 Apr 1;42(7):1024-31.

 

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① 2020,11【HIV】HIV感染症とAIDSについて 

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【YouTube動画】

予防会YouTube HIVとAIDSについて

 

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記事の執筆


著者情報 新宿サテライトクリニック 院長 北岡 一樹(きたおか かずき)

予防会 新宿サテライトクリニック 院長
早稲田大学招聘研究員

北岡 一樹(きたおか かずき)

三重大学医学部卒業後、同大学医学部附属病院で研修を行った後、内科勤務しながら、名古屋大学大学院細菌学博士課程へ入学。薬剤耐性菌研究に携わり、博士(医学)取得。
その後、早稲田大学で招聘研究員として研究を開始。同時に、医療法人社団予防会新宿サテライトクリニックで性感染症診療も開始し、現在、院長を務めている。
性感染症について診療だけでなく研究も行っており、ファージを用いた性感染症予防の実現(性感染症予防のゲームチェンジャー)に取り組んでいる。

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