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予防会からのお知らせや、性感染症(STD)に関するコラムをお届けします。


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2019.05.14

梅毒

日本で感染者急増中の梅毒って、なに?!

人間に性欲がある限り、撲滅することは難しいと言われている性感染症。
ひとときの快楽に身を委ねたものの、もしかして、あの時の×××は危険だったかも・・・とあとで不安になるのは当然のことです。
不安にかられてネットで検索してみても、なんとなくピンとこない・・・。
もっと具体的に書いてあったらいいのに・・・と思っていませんか?
ここでは、もしかしたら性病になったかも・・・と悩みに悩みぬいて来てくださった患者さんを診察してきた経験をもとに、なるべくわかりやすく性感染症について解説し、知識を深めていただきたいと思います。
性感染症は、誰でもたった1回の性行為でもかかる可能性があり、決して性にだらしないことでも恥ずかしいことでもありません。
大切なことは、性感染症についての正しい知識を身につけ、自分の身体に関心をもち、異変に気付いて早めに検査や診察を受けることです!
このコラムを読んで、ちょっと相談だけでもしてみようかな?と思っていただけたら嬉しいです。
少しでも多くの方が私たちのクリニックへ足を運んでいただければ、性感染症の蔓延を防ぐことができると信じています。

日本で感染者急増中の梅毒って、なに?!

「梅毒」と聞いて、どんな病気だと思いますか?
・なんだかよくわからないけど、毒って名前が危険そう!
・むかし流行った過去の病気だから、私は関係ない。
・風俗遊びをしなければ心配ないでしょ?
と、いろいろあると思います。
「梅毒」の名前の由来は、症状の一つである発疹(バラ疹)がヤマモモ(楊梅)の果実のように赤く見え、かつては感染してしまうと徐々に進行し死に至る恐ろしい病気(毒)だということからつけられたようです。

ヤマモモの画像

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バラ疹(引用:東京都福祉保健局より)

★【バラ診】 東京都福祉保健局 参考

 

しかし、1943年に抗生剤(ペニシリン)による治療が成功し、梅毒は治癒する病気になったのです。
ちなみに、ペニシリンを発見したフレミング博士はノーベル生理学・医学賞を受賞しました。それだけ梅毒は、かつては身近にあって恐れられていた病気だったということですね。

日本において、梅毒の流行は2010年ころまでは抑えられており、「梅毒=特殊な病気」として位置づけられ、存在自体も薄れてきていました。
しかし、いまなぜ、この忘れられかけていた梅毒が近年再流行しているのか?
梅毒についての正しい知識をもって予防することが大切です。

【梅毒患者報告数の推移】

梅毒 年次推移

さて、みなさんが一番気になっていることは、どんな症状か?どうやってうつるのか?だと思います。

1)梅毒の感染について

梅毒に感染して生じた相手の皮膚病変と、ご自身の粘膜や傷口が直接接触することによってうつります。
ここではあえて、「性的な接触」とは書きませんでした。なぜならば、性的と呼ばれるすべての接触(通常のsex、肛門性交、すまた、フェラチオ、クンニリングス、膣や肛門への指入れ、ディープキス、乳首舐めなど)でうつることは当たり前ですので、性的ではないキスであってもうつる(うつす)可能性があるからです。
淋菌やクラミジアと違い、コンドームをつけた性行為であっても、梅毒による傷口がコンドームの外に接触すれば防げません。
また、梅毒によって口の中に傷ができた方に乳首を吸われてできた小さな傷からでもうつる可能性はあります。
さらに、膣の中や肛門内部、のどの奥などの外からは見えない場所にも梅毒病変はあるので要注意です。さらに、この病変はほとんどが痛くならないので気づきにくく、しばらくして消えるので治ったと勘違いして放置すると、どんどん進行して病原菌が全身に広がっていきます。

2)梅毒の症状について

梅毒の初期症状は気づきにくい!
特徴的な症状を覚えておきましょう!

★第1期梅毒

(忘れたころに出てきて、痛くもかゆくもなくていつの間にか消えてしまう)
・症状の発現期間:感染から10日~90日の間に生じる症状です。
・症状の発症部位:相手と直接接触して梅毒の病原体が侵入した部分に症状が現れます。
感染した部位に大豆くらいの大きさの硬めのしこりができます(初期硬結)。はじめはその中心に虫刺されのような赤い点ができ、やがてそれが広がりつぶれて潰瘍になります(硬性下疳)。見た目は派手ですが、痛みを感じることはほとんどなく、見えないところにできた場合は全く気付かず経過します。また、治療をしなくても数週間で跡を残さず消えてしまうので治ったと勘違いしがちです。

★第2期梅毒

(忍者のように姿・形を変えて現れては消える)
・症状の発現期間:第1期梅毒から未治療のまま4~10週間して生じる症状です。
・症状の発症部位:梅毒の病原体が全身に散布され、からだのあらゆるところに症状が現れます。
a. 梅毒性バラ疹:第2期の最も早い時期に見られる全身性の発疹で、あまり目立たない薄い赤色の斑点。
b. 丘疹性梅毒疹:感染後約12週で、あずき大~えんどう豆の大きさで赤褐色から赤銅色の丘疹(皮膚が盛り上がった状態)、結節。
c. 梅毒性乾癬:手のひら、足のうらに見られる丘疹で、赤褐色から赤銅色の湿った斑点が現れ、皮膚の角質がはがれるような部分もみられる。
d. 扁平コンジローマ:肛門周囲、外陰部に好発する。薄い赤色から灰白色の湿った平らに盛り上がったしこり。
e. 梅毒性アンギーナ:扁桃やのどの奥の方の発赤、腫れ、びらんや潰瘍を伴う。
f. 梅毒性脱毛:爪の大きさ~コイン状の円形の脱毛で、虫食い状の脱毛になる。
g. 膿疱性梅毒疹:多発した膿疱(中にうみが入っている湿疹)がみられる場合で、全身状態不良、免疫低下の場合にみられることが多い。

第2期梅毒は、3か月~3年にわたって上記の発疹が出現しては消え、忘れたころにいろいろな症状で姿を変えて現れます。
そして、数年~数十年という長い期間の中で静かに進行し、重い症状をもたらす可能性があります。症状が出ていない期間であっても、性行為やその類似行為によって梅毒の病原体は他人へうつってしまいます。

★第3期梅毒

(現在ではほとんどみられなくなりましたが、近年の流行により今後増加する可能性があります)
・症状の発現期間:感染後3年~10年で生じる症状です。
・症状の発症部位:組織にゴムのような弾力の大きめの腫瘍(ゴム腫)ができます。
ゴム腫は組織を破壊し、特に鼻の骨は破壊されやすく「梅毒になると鼻が落ちる」といわれていました。

★第4期梅毒

(死に至る症状です)
・症状の発現期間:感染後10年以上で生じる症状です。
梅毒による大動脈炎、大動脈瘤(破裂による突然死)、脊髄癆(下肢の激痛、運動麻痺、失明など)、脳梅(認知症のような症状)が現れ、いずれ死亡します。

★まとめ

男性では20代~40代、女性では20代で増加しており、近年、再び身近な性感染症として注意喚起されています。
当院においても、クラミジアや淋菌に次いで梅毒の患者さんも増えてきています。
また、通常の病院で見逃されてしまい、十分な治療を受けられずに当院へ診察に来た患者様もいらっしゃいます。
梅毒についての正しい知識を身につけ、かかってしまった場合には早めに治療をすることが大切です。

次回は、梅毒の検査と治療についてです。

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