カンジダ
細菌性膣症
2019.08.09
カンジダ
細菌性膣症
この時期、外陰部のかゆみやおりものの異常で来院される方がとても増えています。
患者さんからお話を伺うと、おりものに共通した特徴があります。
その特徴とは・・・
「甘酒の下に沈殿しているカス(酒かす)状」
「トイレットペーパーのクズ状」
「カッテージチーズ状」
おりものを採取して検査をしてみると、「菌糸(髪の毛のようなもの)」や「酵母(スイカの種のようなもの)」が観察され、「カンジダ」と診断できます。
(カンジダ画像:当院で検査した顕微鏡画像)
「カンジダ」は真菌(カビ)の一種で、水虫やインキンタムシの原因になる白癬菌(皮膚糸状菌)もカビの仲間です。
カビは、湿気が多く栄養のある場所を好んで繁殖しますので、家の中でも浴室などでみかけますよね。
人間の皮膚にも真菌は常在していて、条件が整うと増殖を開始し病原性を発揮します。
このように、ヒトは常に生活の中で真菌にさらされています。それゆえ、真菌に対しては強力な防御機構を持っています。
a. 機械的バリア
皮膚や粘膜などの防護壁で阻止されます。例外的に水虫の原因である白癬菌は角質を突破できる酵素を持っています。
b. 細胞によるバリア
白血球や細胞性免疫による防御(真菌を殺菌し増殖を抑制します)。液性免疫(抗体)の役割は小さいと言われています。
皮膚や粘膜に小さな傷ができて機械的バリアが弱まったり、抵抗力が落ちて細胞によるバリアが弱まると、いっきに真菌が増殖するというわけです。
実は、これについてはまだよくわかっていませんが、カンジダが増殖するときに、酵母から菌糸へ形を変え(二形性)、皮膚や粘膜に侵入して炎症を起こすのが原因であるという説や、トキシン(毒素)の放出が原因であるという説があります。
外陰腟カンジダ症は性感染症(性行為によって感染する)に含まれますが、日和見(ひよりみ)感染症であるという側面も持っています。症状の有無にかかわらず、妊娠していない方で約15%、妊婦さんで30%がカンジダを保菌していると言われています。
① 外因性(性行為による感染)
■ パートナーのペニスや腟にカンジダがいる場合に腟性交で感染することで発症。
② 内因性(日和見感染※)
■ 妊婦は腟上皮のグリコーゲン(栄養)が増加。
■ 糖尿病、ステロイド薬の服用、免疫抑制薬の服用により免疫が低下。
■ 抗菌薬の服用によりLactbacillus属(腟乳酸菌属)が減少。
このことにより、もともと常在していたカンジダが繁殖することによって、外陰腟カンジダ症が発症します。
図:外陰腟カンジダ症の発症過程(病気が見える Vol.9 婦人科乳腺外科 p92-93引用)
※日和見(ひよりみ)感染
体力の低下などが原因で免疫力が低下すると、健康であれば増殖が抑えられている病原性の低い常在菌の方が免疫力に勝ってしまうことによって発症する感染症のこと。
ちょっとこの表現は難しいので、わかりやすく言うと・・・
「相手が強い時はおとなしくしているのに、相手が弱くなると勢いが増すような、明らかに悪い菌ではない菌による感染」ということですね。
(女性)
■ 外陰部のかゆみ、赤み、腫れ。
■ 白色のおりもの(酒かす状、粥状、ヨーグルト状)
■ においはほとんど気にならない程度。
(男性)
■ 陰部(亀頭・陰茎・陰嚢・鼠径部)のかゆみ、違和感、皮膚の赤み、冠状溝にカスのようなものがつく、亀頭包皮炎など。
おりものの特徴や症状で十分診断は可能ですが、培養法や顕微鏡検査によって確定診断をします。
培養の検査は、結果の判明までに数日かかるため当院ではしていません。
当院では、すべて顕微鏡の検査でおこないますので数分で結果をお伝えしています。
男性の場合は、症状のある場所を見て診断します。
■ 抗真菌薬の腟錠・外用薬を処方します。腟錠は自己挿入、外用薬は1日数回かゆいところに薄く塗ってください。
■ 無症状の場合は、保菌者でもカンジダ症とは診断されず、治療の必要性はありません。
■ パートナーの治療も無症状であれば治療の必要はありません。
※カンジダになりやすい人
■ 妊娠中の方。
■ 糖尿病の方。
■ ステロイド剤を服用している方。
■ 抗菌薬の服用をしていた方。
■ 睡眠不足や疲労しやすい状況の方。
外陰腟カンジダ症を防ぐために
■ 綿素材の下着や、ゆったりとした服を着用して通気性を良くしておきましょう。
■ ナプキンやおりものシートはまめに交換しましょう。
■ 不潔な状態での性行為は避けましょう。
■ 性交後は陰部を湿ったまま放置しないでシャワーや入浴をするように心がけましょう。
■ ボディータオルや刺激の強いボディーシャンプーなどで陰部を強く擦らないようにしましょう。
■ 下着やタオルなど、自分の身体や身のまわりのものはまめに洗濯し、清潔に保ちましょう。
■ 健康的で規則的な生活をおくりましょう。
市販薬による治療の注意点
最近は、カンジダのお薬はドラッグストアでも買えるようになり、いちいち病院に行かなくてもよくなりました。
しかし、かゆみはいろいろな原因で起こります。
かゆみの原因がカンジダではないのに、カンジダのお薬を使っても効果がありません。病院に行って検査をすれば、何が原因でかゆいのか?がわかりますし、その原因に対して効果のあるお薬を処方してもらえば、早く治りますし、結果的に医療費も少なく済むことが多いです。
私どものクリニックでは、おりものチェックは熟練の者が顕微鏡の検査をしますので、数分で結果をお伝えし、その場でお薬をお渡しすることができます。
病院に行くのが面倒だなーと思っているあなた、少しでも早く不快な症状から解放され、快適な日常を過ごせますよう、是非、私どものクリニックへ足を運んでいただくことを願っています。
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