カンジダ
細菌性膣症
2024.11.14
特集
最近は、WEBメディアで専門家が紹介されることが一般的となってきています。
そういったメディアの1つに、朝日新聞運営の「審査基準をもって厳選した専門家」を紹介する「マイベストプロ」があります。
「マイベストプロ」では、くらし/法律/ビジネスなど様々な専門家が紹介され、各々が情報発信しています。
予防会新宿サテライトクリニック院長北岡は、東京都における性感染症に関する専門家として、2024年5月より、マイベストプロ東京で、一般の方でもわかりやすいように、性感染症情報を発信してきました。
(https://mbp-japan.com/tokyo/yoboukai-shinjukusatellite/)
そして、10月27日の朝日新聞の紙面で掲載されました。
昨今、ネットがより身近になったことで、エビデンスのない医療情報が錯綜するようになりました。
一方で、ネットの発達によってよくなった面もあります。
それは、医療エビデンスの充実です。
というのも、以前は、医療情報のエビデンスは数年に一度、専門家の方々が話し合って定めるガイドラインが中心でした。情報の共有・更新頻度が遅く、触れる環境も限られるため非常に不便ですね。
しかし、誰でも世界中の情報にアクセスできるようになったことで、世界中のエキスパートによって日々更新される「UpToDate」と呼ばれる電子媒体の医療エビデンスが誕生しました。
↓UpToDateについて詳しく知りたい人はこちらをチェック!↓
英語による記載ではありますが、世界中の専門家によって作成・更新されるため、医学研究の最新知見や臨床ガイドラインがすばやく反映されています。
現在、世界で最も信頼できる医療エビデンスの一つとされています。
私が「マイベストプロ東京」で掲載される運びとなったのは、様々な情報が錯綜する中で、「UpToDate」に基づいた性感染症情報発信が認められたことが一因です。
では、性感染症領域における誤情報はどういったものがあるのか。
例として、マイコプラズマ性感染症と予防薬の話をしましょう。
マイコプラズマ性感染症については、必ず治療しなければいけないという情報が散見されます。
しかし、UpToDateにおいては、あくまで症状がある場合のみ治療となっています(1,2)。
また、昨今ビブラマイシンを用いたクラミジアや梅毒の予防薬が話題になっていますね。
実はこの予防方法、UpToDateにおいては、まだ男性間性交者のみでしかエビデンスはありません(3)。
異性間の性行為では、予防できるというエビデンスはまだ存在していません。
例として、ケニアにおける大規模臨床試験が挙げられており、異性間性交者において、ビブラマイシンを用いた場合と用いなかった場合で、性感染症予防において差がなかったとされています(4)。
様々な情報が錯綜している現代においては、情報を取捨選択することが求められます。
「論文があるから」といったエビデンスを基に発信されているものであっても注意が必要です。
単一の論文では最適なエビデンスとはなりません。
メタアナリシス解析と言って、「様々な複数の論文を集めてきて、正しい答えを導き出す」UpToDateのような媒体であれば、信頼性が高いエビデンスと言えるでしょう。
言うは易く行うは難しではありますが、このあたりを留意して情報の取捨選択をしてもらえればと思います。
私はこれからもUpToDateに根差した、正しい情報を発信していきますので、予防会のコラム、マイベストプロ東京で北岡が発信する情報は、安心してご覧いただければ幸いです。
1) UpToDate: Mycoplasma genitalium infection
2) UpToDate: Mycoplasma hominis and Ureaplasma infections
3) UpToDate: Prevention of sexually transmitted infections
4) Molina JM, Charreau I, Chidiac C, et al. Post-exposure prophylaxis with doxycycline to prevent sexually transmitted infections in men who have sex with men: an open-label randomised substudy of the ANRS IPERGAY trial. Lancet Infect Dis 2018; 18:308.
記事の執筆
北岡 一樹(きたおか かずき)
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