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予防会からのお知らせや、性感染症(STD)に関するコラムをお届けします。


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2024.06.17

STDを防ぐ

エビデンスに基づく、性感染症の感染率まとめ

性感染症専門クリニックである予防会の医師が監修・執筆したコラムです。
 

性感染症の感染率が気になる方は多いと思いますが、信頼できるエビデンスを基にしたものは決して多くないのが現状です。

そこで、世界的に信頼されているエビデンスの1つであるUpToDateに掲載されている感染率データを出来る限り収集し、わかりやすくまとめました。ぜひご一読ください。

*この記事は、世界で最も信頼性のあるメタアナリシス(様々な研究・文献を統合して判断すること)エビデンスの1つであるUpToDate(https://www.uptodate.com)をエビデンスとして記載しております。

↓UpToDateについてはこちらをチェック!↓
https://yoboukai.co.jp/article/2467

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性感染症の感染率

1回の性行為での感染率が明確に報告されているのは以下となります。
※参考データは記事下部に記載

性行為1回に対する梅毒・淋菌の感染率 ・淋菌:50%(1)・梅毒:30%(下疳もしくは扁平コンジローマがある場合)
・HIV
行為、及び行為者によって異なります。

行為ごとのHIV感染率 HIV:肛門性交-受容側1.4% -挿入側0.11% 陰茎膣性交-受容側0.08% -挿入側0.04% オーラルセックス 0~0.04%
 

 

パートナー間の感染率

1回の性行為の感染率というわけではないですが、感染者のパートナーがどれくらいの割合で感染していたか報告されているのは以下となります。

パートナー間の淋菌・クラミジア・トリコモナス・梅毒・HIVの感染率 ・クラミジア:77%(4)・淋菌:73%(5)・トリコモナス:70%(6)・HIV:2.6%(7)
 

パートナーの感染率において淋菌・クラミジア・トリコモナスは同じような挙動を示しています。
1回の感染率に関しても、同様だと推定されます。
つまり、感染力の高い淋菌・クラミジア・トリコモナスの1回の感染率はだいたい50%、1/2だと思っておくとよいと思います。

 

予防の有効率

上記のような感染率が分かっているところで、既存の予防法でどこまで感染率を下げられるかというのも調べられています。

コンドームの有効性
 

コンドーム非使用者の淋菌・クラミジア・トリコモナス感染率は30%であったのに対し、コンドーム使用者では18%であったと報告されています。(8)

つまり、12%低下させることが出来たということになります。

しかし、100%の効果でないことに留意する必要があります。

コンドームは挿入時にのみ装着されることが多く、挿入前の未装着の段階で性器接触があれば感染してしまうことが原因です。

 

・予防薬について

予防薬の有効性
 

また、最近話題の抗生物質を使用した予防において、クラミジア・梅毒の感染リスクが1/3に低下したという報告もあります(9)。

ただし、この方法の安全性等はまだ確立されておらず、UpToDateでも「推奨」とはなっていないことにご留意ください。

他に、こちらは安全性が確立している抗ウイルス薬を用いたHIV予防においては、HIV感染リスクを95%減少させますが(10)、高価です。

このように、性感染症は既存の方法では100%防げるわけではありません。

性感染症は、淋菌のように50%という高い感染力を持つものがあること、性感染症の6~8割は無症状であることを鑑みると、定期的な性感染症検査が重要かつ必要です。

 

予防薬の開発

ここまで話してきた背景を鑑みると、もっと効果の高い予防法の開発が必要です。

特に有病率が高く、不妊リスクのある淋菌・クラミジア・トリコモナスに関する確実な予防法は、現時点ではコンドーム着用のみです。

コンドームは上述の通り、着用前の接触等の原因により、その効果は100%ではありません。
また、コンドームを着用できない状況も少なくありません。

予防会では、サテライトクリニック院長の北岡が主導で、そのような時にも効果のある予防法の開発を進めています。

具体的に、ファージと呼ばれる“殺菌する生物”を用いて、まずは淋菌の予防薬を開発しています。

ファージは標的細菌にしか影響せず、ヒト細胞に全く影響しないため、抗生物質と異なり予防投与が可能です。

一方、その特異性の高さから、今までは確実に効果のあるファージ製品が事前準備されたことはありませんでした。

新宿サテライトクリニック院長北岡は早稲田大学と共同で、流行株という視点でファージの研究を進め、流行株に効果のある、すなわち広い効果を持ち、事前準備可能なレディーメイドファージを開発しました(11)。

この技術を用いて、コンドーム未着用でも予防できる淋菌予防薬の開発に取り組んでいます。

 

まとめ

・淋菌の感染率は50%(1/2で感染)、梅毒の感染率は特定の場合で30%

・様々な予防法はあるが、確実なものはない→定期的な検査が必要なことには代わりない

 

参考文献▼(クリックで展開します)

1) Platt R, Rice PA, McCormack WM. Risk of acquiring gonorrhea and prevalence of abnormal adnexal findings among women recently exposed to gonorrhea. JAMA 1983; 250:3205

2) Hook EW 3rd, Marra CM. Acquired syphilis in adults. N Engl J Med 1992; 326:1060.

3) Patel P, Borkowf CB, Brooks JT, et al. Estimating per-act HIV transmission risk: a systematic review. AIDS 2014; 28:1509.

4) Huffam S, Chow EPF, Leeyaphan C, et al. Chlamydia Infection Between Men and Women: A Cross-Sectional Study of Heterosexual Partnerships. Open Forum Infect Dis 2017; 4:ofx160.

5) Lin JS, Donegan SP, Heeren TC, et al. Transmission of Chlamydia trachomatis and Neisseria gonorrhoeae among men with urethritis and their female sex partners. J Infect Dis 1998; 178:1707.

6) Seña AC, Miller WC, Hobbs MM, et al. Trichomonas vaginalis infection in male sexual partners: Implications for diagnosis, treatment, and prevention. Clin Infect Dis 2007; 44:13

7) Jia Z, Mao Y, Zhang F, et al. Antiretroviral therapy to prevent HIV transmission in serodiscordant couples in China (2003-11): a national observational cohort study. Lancet 2013; 382:1195

8) Crosby RA, DiClemente RJ, Wingood GM, et al. Value of consistent condom use: a study of sexually transmitted disease prevention among African American adolescent females. Am J Public Health 2003; 93:901.

9) Luetkemeyer AF, Donnell D, Dombrowski JC, et al. Postexposure Doxycycline to Prevent 2024/01/31 18:58 Prevention of sexually transmitted infections Bacterial Sexually Transmitted Infections. N Engl J Med 2023; 388:1296.

10) Cohen MS, Chen YQ, McCauley M, et al. Antiretroviral Therapy for the Prevention of HIV-1 Transmission. N Engl J Med 2016; 375:830.

11) Yamamura S, Kitaoka K, Yamasaki Y, et al. Relationship between Phage Lytic Spectra and Sequence Types in Extended-Spectrum β-Lactamase-Producing Escherichia coli Isolated in Japan. Jpn J Infect Dis. 2022;75(6):623-626.

記事の執筆

著者情報 新宿サテライトクリニック 院長 北岡 一樹(きたおか かずき)

予防会 新宿サテライトクリニック 院長
株式会社KMPhage代表取締役

早稲田大学研究員(MD/PhD)

北岡 一樹(きたおか かずき)

三重大学医学部卒。初期研修修了後、内科勤務しつつ名古屋大学大学院医学系研究科細菌学博士課程修了。その後、薬剤耐性菌の研究のため、早稲田大学で研究開始。同時に医療法人社団予防会新宿サテライトクリニックで診療開始し、現在は院長を務めながら新たな性感染症予防薬創出のため「バクテリオファージ」の研究を進めている。本研究では東京都主催のコンテストで優秀賞を獲得、社会実装に向けバイオベンチャー「株式会社KMPhage」を起業。国内では数少ないカンジダ・細菌性膣症の予防の研究も行っており、臨床においても研究知見も含め「性器感染症予防」を専門として、世界的エビデンスUpToDateに基づいたデリケートゾーン専門外来も行っている。
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