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予防会からのお知らせや、性感染症(STD)に関するコラムをお届けします。


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2020.05.16

特集

新型コロナウイルスの抗体検査

感染症の診断は、一般的に急性期(症状が現れている時期)にウイルス検出、回復期には抗体検査が実施されます。ウイルス検出にはウイルス分離培養、抗原検出(イムノクロマト法)や遺伝子検出法(PCR)等を用いられます。

 

 

現在、新型コロナウイルスのPCR検査は保健所を窓口に実施されています。

これは鼻咽頭スワブ液等から新型コロナウイルス遺伝子を抽出(取り出す)し、逆転写(RT)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって検出する方法です。ウイルスに感染しているかどうかを調べます。

 

 

一方、抗体検査は新型コロナウイルスに感染していたかどうかを調べる検査法です。

事件現場で例えるならば、PCR検査は現場(鼻咽頭等)にいる犯人(新型コロナウイルス遺伝子)を現行犯逮捕(検出)します。抗体検査は犯人が逃げ去ったあと(回復期)の現場に残された足跡(産生された抗体)から犯人(新型コロナウイルス)を追跡する方法です。

 

 

感染症では主に、その病原体に対するIgG、IgMを調べます。風疹を例にすると、感染後1週間くらいでIgM、もう少し遅れてIgGが出現し、その後長期間持続します。風疹は妊娠中に感染すると胎児に障害が出る恐れがあるため、妊娠初期に風疹に対する免疫が備わっているかを風疹のIgGとIgM抗体で調べます。風疹抗体は感染防御抗体なので、抗体が陽性で、十分な量があれば免疫ができているため感染するリスクは減少します。抗体が陰性であれば、妊娠中は感染リスクを避け、産後にワクチンを接種し、次回の妊娠に備えて免疫(抗体)を作ることが推奨されています。

 

 

新型コロナウイルス研究の歴史は浅く、風疹等のウイルス感染症と同様の免疫応答が見られるか詳細はまだ不明ですが、感染からの日数とウイルス及び抗体の陽性率の推移まとめた報告があります(Nandini Sethuraman ら、JAMA.2020.8259, 忽那賢志訳https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200509-00177709/)。

 

【画像】コロナ①

 

国内では神戸市民病院の外来患者1000人を対象に抗体検査が実施され、3.3%が抗体陽性とされています(神戸新聞)。抗体検査はPCR検査が実施されていない無症状、軽症の症例がどれくらいあるのかを把握すること(疫学調査)が可能となります。

 

 

イムノクロマト法を用いた新型コロナウイルス抗体検査は、ヒト血清、血漿中に出現した新型コロナウイルスに対するIgM抗体とIgG抗体を調べ、これまでに新型コロナウイルスへの感染があったかどうかを補助的に判断するための簡易キットです。

 

しかし、キットにより検出感度や特異性が異なるのが難点で、現時点では正確な診断をするための検査にはなりません。
一般的にウイルス感染後、IgM抗体は1-2週間(感染初期)、IgG抗体は2-3週以降(回復期)に出現します。イムノクロマト法を用いた抗体検査キットの評価では、発症後2週間後のIgM抗体陽性率は59.4%、IgG抗体陽性率は96.9%と報告されています(国立感染症研究所ホームページ:https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/9520-covid19-16.html)。

 

 

イムノクロマト法で検出された場合、これまでに新型コロナウイルスに感染していた可能性を示します。しかし、新型コロナウイルスの免疫応答の研究歴史は浅く、抗体が感染を防御する(感染を防ぐ)抗体であるかどうかまだ不明です。したがって、抗体検査陽性であっても「二度と新型コロナウイルスにかからない」という保証にはまだ至っていません。

 

 

現時点での抗体検査の意味を正しく理解する必要があります。免疫(抗体)を持つヒトが人口の6~7割になる(集団免疫ができる)まで、感染は終息に向かいません。

 

 

現在、新型コロナウイルス治療として初期治療には「アビガン」(富士フイルム富山化学)、「レムデシビル」(Gilead Sciences Inc)等の抗ウイルス剤(ウイルスの増殖を阻害)でウイルスを叩き(治療)、サイトカインストーム(新型コロナウイルスに対する免疫応答の暴走)による重症化(暴走した免疫反応により正常組織がダメージを受ける)に対しては「アクテムラ」(抗IL-6レセプター抗体)やオルベスコ(吸入ステロイド)が治療として実用化されつつあります。

 

 

ワクチン開発も日本を含む各国で進行しています。抗体検査の結果にかかわらず、こまめに石鹸やアルコール消毒液などでの手洗いや、マスクの着用と咳エチケットに気を付け、できるだけ人ごみの多い場所を避けるなど、自らを感染から守るだけでなく、自らが周囲に感染を拡大させないために一人ひとりの心がけが何より重要です。

 

また、新型コロナウイルス関連の情報は日々更新されていますので、感染症専門家会議からの提言を踏まえ、新型コロナウイルスの感染対策をこれまで以上に想定した「新しい生活様式」を日常生活の中で取り入れていきましょう(厚生労働省ホームページ:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000627771.jpg)。

 

【画像】コロナ②

 

 

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